智の木協会活動報告

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智の木協会主催 第9回グリーンツーリズム「柿渋工場見学会」 レポート

 平成27年9月3日(木)実施

 智の木協会主催「第8回ワークショップ」(平成26年11月7日開催)で、岩本将稔氏(岩本亀太郎商店 開発室 室長)に「柿と柿渋」についてご講演いただきました。この度、京都府相楽郡和束町の柿渋工場を訪問させていただきました。

 辺りには名産和束茶を産するお茶畑が緑のじゅうたんを髣髴させるように広がり、独特な景観を呈していました。岩本氏によりますと、お茶畑の側には柿渋原料となる渋柿「天王柿」が昔から植えられているそうです。

 渋柿の収穫は柿の品種により異なり、7月・8月が最盛期、初秋(9月)にも収穫されます。今年の場合、6月23日、和歌山県の「平核無」から始まり、7月には愛媛県の「愛宕」「横野」、8月には鳥取の「西条」が入荷しました。そして、9月中旬から入荷する京都の「天王」という品種が最終だそうです。

 今年は例年になく雨が多く、雨天が続いていました。渋柿は雨の際には収穫しないそうで、見学に訪れた日も渋柿の入荷はありませんでした。柿果実は「洗浄」「粉砕」「圧搾」の工程を経て「搾汁液」になります。実際に搾った「搾汁液」を見せていただきました。部屋に入りますと、柿渋特有の醗酵臭が立ち込めていました。渋柿の種類によって色が異なること、醗酵するとまた色が変化することを実感しました。

 「搾汁液」は「醗酵」(香りの変化)、「熟成」(色の変化)、「貯蔵」(粘性の変化)の過程を経て「柿渋」になります。「出荷」までに「精製」「品質検査」の工程を経ます。

 岩本商店では、海外にも出荷(輸出)しておられるそうですが、海外での利用方法にも関心がもたれます。

 柿渋は日本酒の清澄剤としてだけでなく、日々の生活の中で使われており、昔から自家生産して使用していたようです。柿渋染め(布、糸、紙)、石鹸、歯磨き、天然塗料として(防水効果、防腐剤)、更に、醗酵精製品は健康飲料として利用されています。布染色は種類により異なり、また、染め方で変化に富んだ染物ができるようです。和紙も柿渋処理で強度が増しますし、風合いもとてもよく紙とは思えないほどです。

 参加者の中には柿渋染め布を用いた扇子を作ってみたいと申し出られた方もあり、その製品に期待しています。
 参加者の皆さんは、今後の応用展開に思いを馳せておられる様子でした。
 岩本様、ありがとうございました。