智の木協会活動報告

智の木協会の活動報告ブログです

智の木協会「創立記念特別講演会」開催内容(ご報告)

〇日 時:2020年7月31日(金)<講演会:14:00~18:00、交流会:18:00~19:15>
〇場 所:富国生命ビル4Fテラプロジェクト「まちラボ」Aルーム
〇参加者:25名(会場参加:16名、リモート参加:7名、事務局:2名)

 

(司会進行:大河内基夫 事務局長)
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・当日は、冒頭 智の木協会大河内基夫事務局長から開会宣言ならびに全体のスケジュールについて紹介があった後、大河内事務局長の司会で「創立記念特別講演会」が開始された。

 

1. 開会挨拶

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富国生命保険相互会社 大阪北支社 市場開発推進部長 小山晃司 様
 (智の木協会専門委員 同社 執行役員不動産部長 浅見直幸様 代理)

・日頃から会員の皆様にはお世話になっております。本日は、弊社執行役員で智の木協会専門委員を仰せつかっている浅見の代理で挨拶させていただきます。
・「智の木協会」の12周年おめでとうございます。「智の木協会」は、これまで会員のご協力を得て地道な活動を長きに亘り続けてこられました。本来であれば、この創立特別講演会は、例年2008年5月4日の創立記念日前後に開催される予定でしたが、コロナウィルス感染症の影響で今日まで延期となりましたことをお詫び申し上げます。
・今日は、新たに理事長として寺谷誠一郎様をお迎えし、この後寺谷理事長様からご就任のご挨拶、小林代表幹事様から「智の木協会」の活動報告、(一社)大阪梅田エリアマネジメント代表幹事植松宏之様からのご講演という構成で開催させていただきます。また、講演会後には、会員相互の交流会も予定されているので懇親も深めていただきたいと思います。
・最後に、今後もSDGs、アフターコロナの新しい時代に向けて「智の木協会」のご発展ならびに会員各位の更なるご健勝を祈念しております。

 

2. ご挨拶

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〇「智の木協会」寺谷誠一郎 理事長からのご挨拶
(智頭町役場からのリモート参加)
・只今、司会からご紹介がございました。寺谷でございます。私は、この6月まで智頭町長を5期務めてまいりました。智頭町は、人口7,000人弱の小さな町で岡山県との県境に位置し、町の総面積の9割以上が山林で、1年を通して街を彩る植物や美しい自然に溢れています。
・智頭町と「智の木協会」とのご縁は2013年の智の木協会入会がきっかけであります。また、森林セラピー等の連携イベントも大阪でご一緒にやらせていただくなどお世話になってまいりました。
・今回の理事長就任のきっかけは、昨年5月頃だったか小林代表幹事ご夫妻、大河内氏からの強い要請を受けて、理事長になることになりました。私には荷が重いとは思いますが、皆さまのお力添えをいただいて、皆様と足並みを揃えて「智の木協会」の活動に貢献してまいりたいと思っております。

 

3. 活動報告

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〇「智の木協会」小林昭雄 代表幹事からの活動報告
・「智の木協会」としてここに今年度のメイン事業である「創立記念特別講演会」を開催することができたことに  感謝いたします。
・7月1日付で、寺谷新理事長にご就任いただき、お手元  の資料にございます2020年度の新役員体制のもと「智の木協会」の活動をスタートしてまいります。
・ここ1年間の活動の振り返りとしては、大阪観光局との「みどりのイノベーション推進会議」の設置と長野県を中心にこれから活動がスタートする「みどりのプラットフォーム」への事務局としての参画という大きな成果がありました。これらの活動も「智の木協会」の重要な活動として対外的にも発信してまいります。その際、このコロナ禍をチャンスに捉え、リモートも活用して日本全国に会員を拡大できるように頑張ってまいりますので、引き続きご理解、ご支援の程よろしくお願いいたします。

 

4. 創立記念特別講演会

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〇講演テーマ:「令和時代に求められるエリアマネジメントの役割」
〇講師:植松宏之氏(大阪大学コミュニケーションデザインセンター招聘教授/一般社団法人大阪梅田エリアマネジメント代表理事

 <講演要旨>
(1)エリアマネジメントとは
横浜国立大学名誉教授小林先生が定義された、「地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるため、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み」である。住宅地では「自治会」、商店街では「商店街組合」。都心では「まちづくり協議会」が地域の課題解決を行う役割を担っているはずだが日本ではなかなかできていないのが現状である。
・海外では、BID(Business Improvement District)という自治組織が州法で認められ、公共空間における付加的な清掃、警備、イベント開催、情報発信など街の維持・管理を行っている。但し、現在はコロナの影響でその活動は止まっている。(ニューヨークでのこれまでの取り組みを写真で紹介)
・日本では、国や自治体の組織が縦割りになっており、かつ法制度が整っていない点もありこうした取り組みが進んでいない。何故今、日本でエリアマネジメントが注目されるかは、「少子高齢化」や「老朽化する社会資本」が原因である。また、国の予算も減少しており、インフラの維持管理に費やす費用が中心となっている。
・これまでの都市づくりの中で社会資本は整備されている。これからの都市づくりは、社会関係資本の構築が必要になってきている。(大きなエリアではなく小さなエリアで。官から民へ。)ダボス会議ででた「ステークホルダー資本主義」も同様である。今後のQOL向上のためには、SDGsにも貢献する、自然資本・人的資本への投資が必要な時代になってきている。
*「智の木協会」は、Plant Friendly Lifeの役割を果たしている組織である。
 
(2)エリアマネジメントの活動
・全国エリアマネジメントネットワークに入会いただいている活動組織は43団体あり、私はその副会長を拝命している。このネットワークは、「交わる」「深める」「広める」「支える」の4つの活動方針を軸に、実践者や研究者、国・行政の方など、エリアマネジメントに係る多様な人々が集まり・繋がる場である。組織の大きさで会費は異なるが、約1,000万円を超える年間予算で国際会議なども開催している。地域に寄り添うエリアマネジメント活動を実践することが重要である。
・国内事例の紹介として、まず、梅田地区エリアマネジメント実践協議会は、2009年11月にJR西日本、阪急、阪神グランフロント大阪TMOの4社で設立した任意団体。この梅田地区周辺の都市再生事業ができる前に立ち上げ、公共空間を使って梅田エリアの賑わい形成のための各種イベントを開催してきた。
・国内の第二例は、東京の「大(大手町)丸(丸の内)有(有楽町)」。三菱地所が主体的に関与する120haで、20年かけてビルの建て替えと併せてエリアマネジメントに取り組んでいる。公共空間のリノベーションとして仲通りの事例を紹介する。もともと丸の内は官庁街で土日は人も歩いていなかったが、今は、土日の歩行者交通量も2~3倍になり、ニューヨークのタイムズスクエアを思わせるような街並みになっている。
・国内の第三事例は、札幌駅前地区である。地下鉄直下の地下街「チ・カ・ホ」を運営しており、稼いで自立しているエリアマネジメント組織(第3セクター15名の会社)である。官からの人はおらず、プロパー社員のみであり、アメリカのBIDを参考にしている先進的な会社。主な業務は道路の指定管理である。一番大きな収入は地下道の側壁に設置する広告費で(約1.4億円)、その他はイベントスペース等の場所貸しである。この会社の儲けは街に還元するということになっており、エリアマネジメントの好循環を生み出すプラットフォームになっている。また、この会社は行政にまかせない、我々がまちの世話役であるという方針で進めている。

(3)エリアマネジメントを支える法制度
・2015年から開始された法制度がある。グランフロント大阪周辺の歩道の維持管理費用を大阪市が建物所有者から分担金として徴収する条例が始まった。大阪市は、これを欧米のBIDのように広く普及させようと考えたが、現在は、グランフロント大阪だけである。分担金制度の活用範囲が公物管理に限定されており、欧米のようなイベント活動費用に利用できない点があることから、普及が難しい側面もある。2018年6月には、欧米のBIDに相当する制度が、内閣府地域再生エリアマネジメント負担金制度として、誕生しました。この負担金制度は、エリアマネジメント組織が受益者の2/3以上の同意をとれば、行政が負担金を強制徴収することができるものです。法制度は整いましたが、まだ全国で利用された事例はありません。この制度を日本で最初に大阪梅田地区で導入できるよう検討をしております。
・今年は、私が代表理事を務める一般社団法人大阪梅田エリアマネジメントが主体となり、国(内閣府)から地方創生推進交付金を獲得し、10/17(土)に「梅田あるくフェス」という健康イベントをテラプロジェクトと連携して開催する予定です。このイベントが、来街者、オフィスワーカー、テナント、建物所有者にどのような効果があるか検証をしますので、皆さんも機会があれば是非参加していただきたい。
*この後、参加者からの質疑応答が行われた。(内容省略)

 

5. 閉会挨拶

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清水建設株式会社 開発営業部長 豊田桃介 様
(智の木協会 専門委員)
・最初に、智の木協会の活動への日頃からのご支援、本日の参加(会場&WEB)誠にありがとうございました。また、本日、ご講演いただきました植松先生には、我々にとって大変有意義な話題をご提供いただき、厚くお礼を申しあげます。
・今回の植松先生のご講演における街づくりのお話を聞くと、今から10数年前に小林代表幹事を中心に、我々がここ富国生命ビル内に「智の木協会」「テラプロジェクト」を立ち上げた時の想い出が浮かんできます。今後とも「智の木協会」と「テラプロジェクト」が連携し、会員サービスの向上や産学連携の取り組みを強化されることを期待しております。
・最後に、寺谷新理事長ならびに小林代表幹事のもと2020年度の「智の木協会」の活動は、このコロナ禍の中で例年とは少し変わる活動になるかもしれませんが、引き続き会員の皆さまにはご支援賜りたいと存じます。本日は、誠にありがとうございました。

以上

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