智の木協会活動報告

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第2回 智の木協会シンポジウムレポート

第2回 智の木協会シンポジウムレポート

平成22年6月18日金曜日 15:30〜17:20
於:大阪大学中之島センター 7階 セミナー室



司会: 智の木協会事務局長 小菅 喜昭 氏



開会のご挨拶: 智の木協会 理事長 豊田 政男 氏



「本日の講演に2名の先生方をお迎えし、“心をわくわくさせていただけるような演題”でお話をいただくこととなりました。政府の成長戦略の柱として、グリーンイノベーションが提案されました。その中では、残念ながら、植物のもつ素晴らしい機能“癒し”などの生活に密着する分野の成長戦略は示されていません。それゆえに、私ども智の木協会の活動は、これらを補完する意味でも重要であります。本日のシンポジウムで、安らぎと知的興奮を感じていただければ幸いです」との開会のご挨拶で会の幕があがりました。

また、関連の活動については、「23年1月に、梅田富国生命ビル4階、植・食、産学連携フロアー内に智の木協会のラウンジができあがります。この場を活動の一基盤として活用していただき、本会の展開がより一層発展していくものと期待している」と言及されました。同時に、活動にご賛同いただいた方のご入会をお願いされました。



講演1: 智の木協会 理事 吉田 茂男 氏
    「植物に育まれた日本人の感性−縄文の遺産−」



座長 智の木協会 副理事長 黒田 錦吾 氏
吉田氏の経歴とこれまで歩んでこられた研究、最近の研究テーマなどについてご紹介いただきました。



吉田氏の本来の専門は、植物化学調節剤に関する分野です。
本日は専門外ですが、ご自身がわくわくされるような話、「長い縄文時代の歴史から感化を受けた日本人、現代の植物について、造詣を深める一助になれば幸いであります」との前置きから始まりました。近年考えることは、「日本人と他の国の人たちでは感性が異なる」こと、「地球温暖化に対するリアクションも異なり、なぜそのように異なるのかに興味を持った」との話へと展開されました。

縄文時代は地球的に温度が高く、また、日本列島も温度が高かった時代であり、この機に生活は豊かとなったというお話で、温暖化に対する考え方に一石を投じられました。また、縄文人が農耕して加工食品を作り、美意識にも優れ、創作意欲もあったことが歴史的に証明されており、それらの血統は現代日本人に引き継がれているというお話があり、日本人としては大いに自信を持ってよいと力説されました。
CO2削減に対しても、人工的環境 米国アリゾナ州に開設された、バイオスフェア2 プロジェクトの失敗を例に挙げて、CO2がなければ植物は育たないというお話がありました。


講演2:小川流煎茶家元 小川 後楽 氏
    「煎茶への誘い−その未知の世界−」



座長 智の木協会 学術理事 西条 辰義 氏
 小川氏の経歴のご紹介をしていただきました。また、ご自身が「おいしいお茶」を模索しておられた時(昨年)小川氏の講演を聴いて衝撃を受けたことに言及されました。



 煎茶茶碗の大きさがぐい呑みくらいでも大きい、量としては4〜5滴。これが本来のお茶との話でした。茶道には煎茶道茶の湯の二つがありますが、幕末から近代にかけては煎茶が全盛だった時代であったということ。そして、今も昔も日本の外交はなかなか結論が出ず、外国人と信頼関係を築くことが上手ではありませんが、日本修好通商条約締結の裏で、実は下田奉行 井上清直が「特別なお茶で接待します」と茶の湯ではなく煎茶で接待したことを話していただきました。お茶をたてたのは信濃守で、そのお手前がうまくいき周りの人たちが皆安堵したというお話でした。
煎茶は気持ちがギクシャクしているような時にも精神的な安定をもたらし、それによってお互いに信頼関係を築くことができる、また、歴史的にそのことが証明されているというお話で、最近のあるテレビのコマーシャルを思い出しました。Tea ceremony は煎茶を指しているということでした。
現代のように煎茶が一般家庭に広まったのは大正時代であり、たっぷりの煎茶をいただくようになったのは煎茶を日本国内で消費する必要があったからだそうです。
煎茶を楽しむ日本人としては、中国唐代の陸羽と盧仝の二人について覚えておいてくださいとのことでした。陸羽は煎茶のノウハウを記し、盧仝はお茶についての歌を作りましたが、その歌には弱者に対する温かい思いやりや社会性が含まれているそうです。
 煎茶の歴史を一度紐解いてみましょう・・・

小林代表幹事より水とお茶の関係について質問がありました。
小川氏より、「このお茶にはこの水がよいとは一概に言えません。古くからの説によりますとそのお茶の産地の水で呑むのが一番よいと言われています」とのお答えをいただきました。

閉会のご挨拶: 智の木協会 顧問 山本 幹男氏



 講師の先生方へのお礼の言葉をいただきました。
「植物は身近にあるだけに、空気や水と同じように捉えてしまいますが、人間に与える精神面への影響、恩恵は結構大きいものがあるのではないか、また、人を育む、精神面での健康、文化の発展にもつながっていると思っています。智の木協会の活動(シンポジウム)は、私にとりましては精神面における貢献、文化への貢献ということで目を開かされたという気がしています」と、植物の持つ力や魅力をご自身の言葉として語られました。
 また、梅田の富国生命ビル建設が関係者の方々のご努力で順調に進んでいて、予定通り10月竣工の日を迎えること、この建物の4階に智の木協会の本拠地を置くことを説明されました。「そこは会員の方々、あるいは地域に役立てていただけるような情報を発信する場、また、社会貢献の場として発展させていきたいと考えています。一生懸命やらせていただきたいと思いますので、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。次回もぜひ多くの方々、お誘い合わせの上ご参加いただきたい」と締め括くられました。


当日、6月18日(金)は雨が降り足元の悪い日でしたが、午後3時半から開催のシンポジウムには副理事長 黒田 金吾氏(コクヨ株式会社)、顧問 山本 幹男氏(富国生命保険相互会社)をはじめ、100名以上の方々がご参加くださり、セミナー室は満席でした。

吉田氏、小川氏の講演は大変好評で、引き続き行われました交流会の場では、お二人の周りに皆さんお集まりになり、会話が弾んでいました。

交流会(17:30〜18:50) 於:大阪大学中之島センター2F カフェテリア
交流会は今回、二回目の企画でした。事前申し込みの方々に加え、当日申し込みの方々も多くあり大盛況でした。



 当日、碧山園(神奈川県愛甲郡愛川町)の安間 智慧子氏より杜仲の苗 11株をご提供いただきました。これらの苗は碧山園の方々によって実生より育てられたものです。交流会に参加の方々の中から阿弥陀くじにより配布され、当選者には、宝物としてお持ち帰りいただきました。当選された方々、碧山園の皆さんの熱い思いをお育ていただきますように願っております。