智の木協会活動報告

智の木協会の活動報告ブログです

智の木協会 創立記念講演会(8周年記念)レポート

創立記念講演会のご報告
・日時:平成28年5月7日(土) 午後4時〜7時
・会場:富国生命ビル4階 「社団」テラプロジェクト Aゾーン


〔智の木協会の活動報告〕
 初めて参加された方々のために、智の木協会の活動について小林代表幹事より説明がありました。



〔講演〕

 日本一明るい経済新聞編集長 竹原信夫氏に「元気な企業の舞台裏」と題してご講演いただきました。
 取材を通して得ておられる経営者の方々の“とっておき”のお話を、軽妙な語り口で披露していただき、参加者一同引きこまれていきました。元気な企業に共通していることは「あいうえお」ですと大変分かり易くお話いただきました。
 「あいうえお」のご紹介です。


:明るい社長。
:意志が強い。
:運がいいと思い込む。
:縁を大切に。
:大きな夢を持つこと。



 「あいうえお」は、企業、家庭、仲間、どんなところでも共通の事柄です。これからは「あいうえお」を念頭において行動してみましょう。


以上

智の木協会第8回シンポジウムレポート

平成27年12月4日(金)17時30分〜18時30分
・於:大阪富国生命ビル4階 (一社)テラプロジェクト Aゾーン

司会:智の木協会 事務局長 小菅喜昭氏



開会のご挨拶:智の木協会 特別顧問 平井堅治氏
 参加のお礼を述べられた後、ちょうどフランスでCOP21が開催中でもあり、そのことに触れられながら「しかし、それだけでは難しく、植物とか自然の力を借りて補助していくことが必要だと考えます。まさに、これは智の木協会の趣旨そのものです」と話されました。
また、鳩山内閣が「グリーン・イノベーションによる環境エネルギー大国戦略」を閣議決定する4年も前に、小林先生は愛知万博で「植物の潜在能力の活用により、低酸素社会の実現や野外の心地よさを日々の生活に導入することによって、快適な生活圏を作り生活に潤いをもたせることの重要性」について講演されたと説明されました。
そして「温室効果ガスの排出の削減と植物の力・自然の力を活用して、これを両輪とすることにより初めて地球温暖化を防止することができるのではないかと考えていますし、今こそ、智の木協会から日本であるいは世界に情報発信していく時ではないかなと考えています」と結ばれました。


講演:西田律夫氏 京都大学名誉教授



座長:智の木協会 代表幹事 小林昭雄氏
 講師の西田先生について次のように紹介されました。「長年、智の木協会で講演をお願いしたいなと思っていましたが、4月に学会でお会いし、本日の講演会が実現しました。先生は昆虫がお好きで、先生が22歳、私が27歳の時に西表島で出会いました。私は植物採集、先生はきれいなチョウチョを追い求めておられたという印象でした。」
 「智の木協会は木を守りみどりの環境を保つという趣旨で活動しておりますが、それを食う虫がいるということで『実のなる木を害虫から守る』という観点からお話していただきます」とバトンを西田先生に渡されました。



講演
 西田先生からご講演タイトルをいただいた際には、ミカンコミバエの名前は初めて目にした虫で、ネットでも調べましたが実感が無く、漠然と12月4日、講演当日を迎えました。しかし、ご講演の最後に奄美大島でミカンコミバエが発見されたというお話がありました。そして、12月15日朝のニュースで「〜〜蔓延防止のため、ポンカンの島外持ち出し禁止、廃棄処分を始めた」と報じました。国内で一度は根絶したミカンコミバエでしたが、奄美大島で幼虫が見つかったということで、あらためて果樹の害虫の大変さを知ると共に、タイムリーなご講演だったと思いました。
 昆虫少年だった先生が学問として果樹と昆虫との関係、農薬使用の軽減を目指す、ひいては地球全体の環境に配慮した果樹栽培に繫がる研究を進めてこられた過程と結果についての分かりやすいお話、また、チョウチョの美しい映像に参加者は引き込まれていきました。
 まず、青森県弘前市のリンゴ畑での体験から、農家の人達は開花から収穫まで、日夜害虫、鳥害、病気の防除等世話が大変なことを実感、また、近くに放置農園があり、そこで駆除・防除等無しでは収穫がほとんど出来ない悲惨な状態になることを目の当たりにされました。
 梨、りんご、桃などの果実の中に食い入るナシヒメシンクイについて説明していただきました。ナシヒメシンクイは果実が大きくなると殺虫剤が浸透せず、どんどん食害していく大害虫です。成虫の蛾は7〜8ミリ位で非常に小さいですが、一匹でも入ると商品価値が無くなり、腐って落ちてしまい被害は大きいそうです。
 西田先生は、この蛾の配偶行動、求愛行動を観察されました。雌と雄が出会うのは、匂いでお互いに交信、つまりフェロモンを体内から体外へ放出し同種の個体を呼んでいるのだそうです。先生は、フェロモンの構造を突き止めていき、それを実際に害虫の防除に役立てられるかどうかという研究をしてこられました。   
 性フェロモンは一般に雌が分泌し、それぞれ蛾の種類によって出す物質が異なり、それを感じて雄の蛾が間違えることなく自分のパートナーの雌を見つけ出すことが出来るのですが、ナシヒメシンクイの場合は雌を見つけるとオスもフェロモンを出すのだそうです。
蛾の行動が分かると、フェロモンを別の原料から多量に合成することができ、それを農業に役立てる研究が進んできました。
 梨畑にフェロモントラップ(フェロモン1〜2mg)をぶら下げてフェロモンによる害虫の発生調査を実施されたところ、一晩でたくさんの雄の蛾が飛び込んできたそうです。人の目では確認できていなくても、害虫はそこかしこに潜んでいるもののようです。雄がトラップされたということは、その果樹園付近に雌も相当数いるはずです。このような捕獲がピークを迎えた数日後には産卵が始まります。蛾の場合は1匹が数百個の卵を産みますので、「フェロモンに集まってくる時期を知ることにより発生のタイミングを知ることができます」と西田先生。色々な種類の蛾、それぞれの蛾がそれぞれ異なる構造のフェロモンを雌が発散し、雄が間違えることなく自分のパートナーを見つけ出すということにより、フェロモンによる害虫の大量誘殺が可能であり、これまで使用されてきているそうです。
 フェロモンによる害虫防除法には、発生予知(Monitoring)、大量誘殺(Mass trapping)、
交信撹乱(Mating disruption)の3種類がありますが、世界中で使われている大量誘殺の方法でさえ、全部を殺すことは難しく、最近世界で脚光を浴びている方法、交信撹乱について説明していただきました。ごく微量で雄は誘引されるため、細いチューブに合成したフェロモンを封入し、果樹数本に1本の割合でぶら下げると果樹園全体にフェロモンが充満し、雄は匂いを嗅いでいますから興奮して雌を探し回り撹乱が起こってしまいます。この方法は、広大な土地での利用が有効で、殺虫剤との併用でかなりの効果があり、ヨーロッパやオーストラリア等の果樹園で使われているそうです。信越化学がコンフューザーNという交信撹乱剤を生産・販売しており、この中には複数の蛾のフェロモンを混合して入れてあり、それぞれ発生の時期が異なっても防除できるそうです。殺虫剤散布回数を減らすことができ、環境負荷が少ないということで総合防除という形で使われてきています。





          アゲハチョウ.ミカン葉に産卵


 次に、チョウの超能力について、説明していただきました。アゲハチョウはミカン科の植物に、キアゲハはセリ科の植物に、アオスジアゲハはクスノキに産卵します。サンショウの葉が丸裸になってしまった経験をお持ちの方、また、パセリの収穫の際に横縞模様の幼虫にびっくりされた方も多いと思います。
先生は、アゲハチョウがたくさんの植物の中からミカン科の植物を、他の害虫も特定の植物を目ざとく見つけることに興味を持たれ、また、その能力の解明がなされていなかったことから、卒論のテーマとして研究されました。アゲハチョウは葉に触れると前足でトントンと叩き、雌の前足は歯ブラシのようになっており雄にはないことから、そこで何かを感じているのではないか、と的を絞って進められました。「その実験にはマニキュアを塗りました」とのお話に、参加者達に笑みがこぼれました。その頃、「モンシロチョウはキャベツの葉を前足で感じる」という論文が発表され、前足にレセプターがあることが分かり、遺伝子をブロックすることによって産卵を阻止することができる可能性が出てきました。
ミカン科植物の葉には数百種類の化合物がある中、10種類がエッセンスで必要だということが分かり、その10種類にアゲハチョウは反応するそうです。色紙の模型にその物質を塗布すると、アゲハチョウは産卵するのですが、「野外では1匹も来ないことから、匂いやしなやかさ、艶やかさなども重要だということが分かっています」と西田先生。これらの研究は、まだ応用には至っていませんが、害虫のウイークポイントが分かってくれば防除手段を見つけ出せるのではないか、と研究を続けておられます。
 ミカン農家の方々からするとアゲハチョウなんて可愛らしいもの、ミカン科の害虫数ある中で本当に怖いのはミカンコミバエで、先生のもう一つの研究になっています。トロピカルフルーツの大害虫で、「40年前小林先生と沖縄で出会った頃には、ミカンコミバエがウジャウジャいて、マンゴーもミカンも絶対育てられない状況でした」と、当時の様子を説明されました。その防除方法では、誘引物質メチルオイゲノールに雄がやって来て舐めますので殺虫剤を入れておくと死にます。メチルオイゲノールと少量の殺虫剤をダンボールに染み込ませ、ヘリコプターからばら撒くと効果的で、沖縄では雄特異的誘引剤を用いた大量誘殺によるミカンコミバエの根絶事業(1972〜1986)により、根絶されたはずでした(が、奄美大島で発生)。





             講演会の様子


 マレーシアやフィリピンで研究の続きをされたところ、メチルオイゲノールを発散している植物は多くあり、そこへミバエがやって来てその植物の受粉を手伝い、逆にミバエは貰った香りを蓄えて雌を誘惑する性フェロモンとして利用する、いわゆる虫側と花側とが共進化しているそうです。実際に舐めていくと背中に花粉の詰まった袋(花粉塊)が付き、ミバエは別の花に運んで花粉が授受されるという仕組みになっているとか。ミバエランでは、ミカンコミバエが花の中心にある可動式の唇弁部を舐めた途端にミバエの重みで倒れ込み、その際に雄しべに受粉するそうです。その成分はZingeroneという生姜の成分で、全く新しい誘引物質で、オーストラリアのマンゴーのミバエの防除に利用できないかと目下研究がなされています。
 今後も生態系情報化学物質で植物を守る見地から、害虫駆除のヒントがまだまだあるはずと、現場からヒントを得て研究を続けていきたいと話されました。「これまでの方法は、有効に使えば問題はありませんが、タイやマレーシアでは本来ミカンコミバエと仲良くしている植物があり、この虫を駆除してしまったらミバエランは滅びてしまう可能性があり、やっつければよいという訳ではありません」「農業生態系と自然とのせめぎ合い、これをどのように解決していけばよいかにも配慮しながら進めていきたい」と結ばれました。




質疑応答
Q:生物農薬、いわゆる天敵について。
A:本来土着のものをアタックするなどの問題が出てきているようで、一概に評価がプラスだけとはいかないようだ、と聞いたことがあります。一つ一つ慎重にしなければいけないということです。
Q:チョウチョの色はきれいですが、あれを抽出しても色は出ないですね?
A:チョウチョは何度か抽出しましたが、あの色だけは抜けないですね。でも、その中の特に目立つ色のカロチノイドだけはスポッと抜けます。
Q:信越化学が売りだしているコンフューザーN、他にこのような撹乱剤を作っている会社は?
A:中国はこれから頑張る可能性があります。ヨーロッパ、アメリカにもあるとは思いますが、信越化学はかなり安全なものを作っています。
Q:毒を持つ蛾も、食べているものを身体に蓄積するということを聞いたことがありますが・・・
A:実はチョウチョを追いかけた原因はそちらで、沖縄へ行くと毒チョウがたくさんいて、その成分は食草から蓄えていました。未だにチョウチョを追いかけている理由です。





事業報告:智の木協会 代表幹事 小林昭雄氏
 智の木協会のこの1年間(第7期)の活動について報告されました。
・自主事業:
 第8回ワークショップ(平成26年11月、岩本将稔氏、柿渋の話)、第9回ワークショップ(平成27年2月、大阪芸術大学教授 池田光惠氏、錦影絵、お話とデモンストレーション、大阪国際サイエンスクラブと共催)、新年交流会(平成27年1月、日根野文三氏、「数値を実感しよう」)、第17回イーヴニングトーク(10月、信州大学名誉教授 廣田満氏「信州、キノコの森を語る」)、創立記念講演会(5月、京都大学教授 平井伸博氏「花粉はなぜ光る」。
グリーンツーリズム
 京町家見学と扇子絵付け体験、京風お弁当を楽しむ一日(6月。扇子のお披露目会、8月)、柿渋工場見学会(9月)。
・後援事業:
(1)平成26年11月19日、「都市未利用空間活用で“みどりの風”を感じる大阪つくりシンポジウム」
(2)平成27年7月4日、シンボルグリーン東梅田を起点とした大阪みどりの風つくり
・花壇「フラワーケーキ」完成記念式典
 富国生命保険相互会社、平井常務様にもご臨席いただきました。
・シンポジウム
(3)平成27年11月7日、いのちの森のパンバザール
当日の様子がテレビニュースで報道されました。
また、パンノキの粉を使って日本人が作ったレシピが、現地サモアで新聞ニュースとして取り上げられました。
非常に大きな関心を持っていただきました。
「Go Greening!」植育(育てる喜び、収穫する喜び、分かち合う喜び、食する喜び)という言葉を智の木協会から発信しています。これを国際語にしたい!
(4)平成27年11月29日、大阪みどりのサンタ・ラン参加
 大阪あかるクラブ創設者やしきたかじんさんの遺志に「みどり化」があり、みどりのサンタ・ランとして参加のチャンスをいただきました。クリスマスツリーを作ろう!ということで、人工のツリーを、智頭町、小国町、四万十町から杉・檜の枝を寄付していただき、網に枝を差し込んで5m高のツリー、他に2本、合計3本のツリーを作りました。ツリーには、願いごとを書いてぶら下げていただきました。
 今後の抱負について、“みどり化”に相当する英語がありませんので、「智の木協会の植育と共に、“みどり”を国際語にしたい」また、「智の木協会の活動が市民にまで浸透するよう、事務局として更なる努力をしてまいります」と決意を示されました。



閉会のご挨拶:智の木協会 副理事長 黒田錦吾氏
 先ず、ご参加のお礼を述べられました。次に、ご子息が中学生になられた時にレモンの木を植えられ、良く育って長い間レモンを100くらい収穫されたそうですが、ある時突如として枯れたこと、また、ビワが実って収穫段階に入った頃に鴉にやられてしまったこと等、実のなる木を育てることの難しさを披露されました。そして、「フェロモンのお話を聞いて、これからは防除の仕方が私共の課題では」と話されました。
 次に智の木協会の活動について、「シンポジウム、ワークショップ、イーヴニングトーク等、非常に勉強になる話ですので、参画することが楽しみです」「富国生命保険相互会社の平井様からお話がありましたが、フランスで行われているCOP21という国家間の約束もさることながら、草の根として、会を通じてもっと植物に関心を持ってこの輪を広げていくことが大事ではないでしょうか」と結ばれました。


交流会



                        交流会の様子

大阪国際サイエンスクラブと共催 第10回グリーンツーリズム「日本で唯一の大工道具の博物館『竹中大工道具館』見学会」レポート

 平成27年12月8日(火)、大阪国際サイエンスクラブ様と共催で「竹中大工道具館」見学会を実施しました。智の木協会は、樹木・材木はもとより、建築、建築に関連する名工や歴史に名を残す宮大工の方々の「仕事振り」にも大いに関心を持っています。
 「竹中大工道具館」は、1984年神戸市中山手に開館、その後、2014年10月より竹中工務店本社跡地に新築・移転されたそうです。新神戸駅近く、少し坂を上っていったところに大工道具館のイメージとは程遠い、古式ゆかしい和風レストランの趣のある建物がありました。木の匂いが漂い、博物館そのものに匠の技の数々を感じとることができました。 

 参加者は、学芸員の方のご案内で地下に下りました。いきなり目の前に現われた大柱。それは、原寸大の唐招提寺金堂の柱でした。参加者は触ってその感触を確かめたり天井を見上げたりして、その仕事の偉大さに感嘆の声をあげていました。
 茶室のところでは、土壁を塗る前の状態を細かく見ることができました。確かに私が子どもの頃は、壁と言えば竹を紐で組み、その上に土を塗る方法でした。

 最近では、鋸、鑿(のみ)、カンナ、金槌、鉞(まさかり)などの道具を一通り備えている家庭は少ないと思います。備えてあったとしても、それぞれ一つずつといったところでしょう。大工という専門家が日本の木造建築を支えてきたその道具は、それぞれの用途・目的に合わせて開発された道具であり、大小様々、とても数えきれないほどでした。
 鋸一つとっても、縦挽き、横挽きがあります。歯のつけ方が異なり、目的に合わせた道具を使用すれば仕事がはかどります。カンナは、刃の出し方一つで木の削れ方が左右されます。

 切ったり割ったり挽いたりの世界で、より効率的に仕事が進むよう名工によって生み出された数々の道具の中で、唯一「墨壺」にはおしゃれな形のものが多く見られました。それぞれの持ち主によって細工が施されており、そこには大工さん達の遊び心が見て取れました。墨壺を通った糸をピンと張ると、真っ直ぐな線が板の上に引かれていた様子を思い出します。

 資料によりますと、昭和18年に東京都大田区で行われた調査では、本格的な建物をつくるのに必要な大工道具(標準編成第一形式)は179点、どんな安普請でも最低限必要な道具(第二形式)は72点であったそうです。大工道具の標準編成の展示を目の当たりにして、現存していることに先ず感動し、その美しさに参加者一同唸りました。名人(大工の)は名工の道具を選ぶ目を有しており、また、名工は名人が必要としている道具を作り上げていくことに魂を注いできた過程を学びとることができました。
 次に神社・仏閣を訪れた際には、これまでは気が付かなかったところにも目が向くことと思います。
 本見学会を実施するに当たりご尽力いただきました大阪国際サイエンスクラブ様、竹中大工道具館関係者の皆様、ありがとうございました。

智の木協会 新年交流会 レポート

 ・日時:平成28年1月23日(土)午後3時30分〜5時。
 ・会場:富国生命ビル4階 (一社)テラプロジェクト Aゾーン





 副理事長 黒田錦吾氏より、新年のご挨拶をいただきました。
新年につき、乾杯しました。








 
 乾杯の音頭は、智の木協会企業正会員 富国生命保険相互会社課長 北林誠様にお願いしました。











 続いて、代表幹事 小林昭雄氏より、智の木協会後援の(一社)テラプロジェクトの事業「いのちの森のパンバザール」(平成27年11月7日実施)、「大阪みどりのサンタ・ラン」(平成27年11月29日実施)及び今後の展開などについて報告がありました。
 また、講師の岡澤敦司氏についてご紹介いただきました。小林氏は、大阪大学時代に岡澤氏を指導しておられました。








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 大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 准教授 岡澤敦司氏に「ノーベル平和賞級?猛威をふるう寄生植物による被害の克服を目指して」のタイトルでご講演いただきました。
 日本で寄生植物と言えば、先ずナンバンギセルネナシカズラ、そして半寄生植物(光合成もするため)のヤドリギくらいでしょうか。食物を荒廃させるほどの被害も無く、差し迫った状況ではありません。今回はアフリカのスーダンソルガム(モロコシ)に寄生するストライガについてお話していただきました。
          
     
 ストライガの写真を岡澤先生から送っていただいた時、紫色の花のあまりの美しさに驚きました。参加者の中から「切花にしたらどうか」という声が聞こえたくらいです。その美しさから「魔女の雑草」と呼ばれているそうです。一たびストライガの種が畑に落ちますと、土の中で10年以上寄生する能力を持ち続け、宿主の根が近づいて来るのを待っているという恐ろしい雑草です。日本国内では今のところ確認されていないそうです。乾燥地帯で猛威をふるい、食糧の生産量低下を招いているストライガ撲滅の研究に期待したいと思います。
             
 最近、マメ科に寄生するヤセウツボ(オロバンギ)が国内で自生しているそうですので、外来種には注意を払いたいものです。
             

第17回智の木イーヴニングトークのご報告

 信州大学名誉教授 廣田満氏に「信州―きのこの森を語る」と題してご講演いただきました。

 信州の森はきのこの宝庫。廣田氏は、学生の皆さんと多種多様のきのこを採取し、その中に含まれる化学物質を抽出、私達の健康保持に役立つ生理活性物質を見出す研究を行ってこられました。

 ケロウジ(イボタケ科コウタケ属)は、マツタケ同様の菌糸菌で、マツタケの「シロ」を排除して縮小させ、自分の「シロ」を形成し、どんどん増えるそうです。このケロウジから、炎症抑制物質を単離され、それが抗がん活性を示すことを発見されました。

 
 きのこは美味しく食するだけでなく、医療の分野でも有用であることを教えていただきました。
 また、毒きのこについて、森のきのこを食する際には、素人判断は禁物とのお話をされました。

智の木協会主催 第9回グリーンツーリズム「柿渋工場見学会」 レポート

 平成27年9月3日(木)実施

 智の木協会主催「第8回ワークショップ」(平成26年11月7日開催)で、岩本将稔氏(岩本亀太郎商店 開発室 室長)に「柿と柿渋」についてご講演いただきました。この度、京都府相楽郡和束町の柿渋工場を訪問させていただきました。

 辺りには名産和束茶を産するお茶畑が緑のじゅうたんを髣髴させるように広がり、独特な景観を呈していました。岩本氏によりますと、お茶畑の側には柿渋原料となる渋柿「天王柿」が昔から植えられているそうです。

 渋柿の収穫は柿の品種により異なり、7月・8月が最盛期、初秋(9月)にも収穫されます。今年の場合、6月23日、和歌山県の「平核無」から始まり、7月には愛媛県の「愛宕」「横野」、8月には鳥取の「西条」が入荷しました。そして、9月中旬から入荷する京都の「天王」という品種が最終だそうです。

 今年は例年になく雨が多く、雨天が続いていました。渋柿は雨の際には収穫しないそうで、見学に訪れた日も渋柿の入荷はありませんでした。柿果実は「洗浄」「粉砕」「圧搾」の工程を経て「搾汁液」になります。実際に搾った「搾汁液」を見せていただきました。部屋に入りますと、柿渋特有の醗酵臭が立ち込めていました。渋柿の種類によって色が異なること、醗酵するとまた色が変化することを実感しました。

 「搾汁液」は「醗酵」(香りの変化)、「熟成」(色の変化)、「貯蔵」(粘性の変化)の過程を経て「柿渋」になります。「出荷」までに「精製」「品質検査」の工程を経ます。

 岩本商店では、海外にも出荷(輸出)しておられるそうですが、海外での利用方法にも関心がもたれます。

 柿渋は日本酒の清澄剤としてだけでなく、日々の生活の中で使われており、昔から自家生産して使用していたようです。柿渋染め(布、糸、紙)、石鹸、歯磨き、天然塗料として(防水効果、防腐剤)、更に、醗酵精製品は健康飲料として利用されています。布染色は種類により異なり、また、染め方で変化に富んだ染物ができるようです。和紙も柿渋処理で強度が増しますし、風合いもとてもよく紙とは思えないほどです。

 参加者の中には柿渋染め布を用いた扇子を作ってみたいと申し出られた方もあり、その製品に期待しています。
 参加者の皆さんは、今後の応用展開に思いを馳せておられる様子でした。
 岩本様、ありがとうございました。

8月1日(土)、扇子お披露目会 レポート

8月1日(土) 扇子お披露目会 レポート



 各自の扇子を持ち寄り、オープンしました。扇面に描いた時のイメージと出来上がりでは随分変化があり、歓声が上がりました。描いた絵と選んだ骨の色との組み合わせ、それに職人さんの腕により、それぞれ個性豊かな作品に仕上がり、世界に二つと無い「マイ・センス」が出来上がりました。それぞれの作品に、大西常商店女将の大西優子さんから、コメントをいただきました。

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