智の木協会活動報告

智の木協会の活動報告ブログです

智の木協会 創立記念講演会(11周年記念)レポート

創立記念講演会のご報告

・日時:2019年5月25日(土) 午後1時~3時

・会場:富国生命ビル4階 「社団」テラプロジェクト Aゾーン

司会:小林 裕子 智の木協会 主幹 

 

開会のご挨拶:豊田 桃介 氏 智の木協会専門委員 清水建設株式会社 開発営業部長

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 創立11年目を迎えられたのは、皆様方に活動のご理解とご支援をいただいたお蔭です、と感謝を述べられました。
 講師とタイトルについては「難しいお話ではなく、会社、仲間や家族とお酒を飲む時に、ちょっと雑学でお話できるような小話をたくさん聞かせていただけるのではないかと期待しています」また「今日は、皆様と一緒に楽しみたいと思います」と創立記念に相応しいお言葉をいただきました。
 そして、12年目に入った智の木協会の活動を、これからもご支援賜りたいとお願いされました。

 

智の木協会の活動報告:小林 昭雄 氏 智の木協会 代表幹事

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 初めて参加された方々のために、智の木協会の活動について小林代表幹事よりパンフレットに基づいて説明がありました。

 「ウィキペディアには智の木協会の創立に関する歴史が、また、実施していった項目が書いてあります。2008年の創立当時には“こんなこと、できるのかな?”というような項目が並んでいますが、これまで「社団」テラプロジェクトとコラボレーションしながら確実に進めてきています」と評価されました。ここで、智の木協会誕生の際に特に多大なご支援をいただいた月桂冠(株)様にお礼を述べられました。
 智の木協会が理念として掲げている「植育」については、商標登録できたことの報告がありました。多方面で「植育」という言葉が使われていますが、実はこの言葉は智の木協会が発想した言葉であることを強調され、幅広い活動も含めて、智の木協会は徐々に認知度が増していることもお伝えになりました。
 配布資料の国際サイエンスクラブの会報について説明がありました。大阪観光局溝畑様へのインタビューを代表幹事がまとめ、投稿したものです。大阪を売り出す形として、インバウンドの方々が日本で何を学び何を持ち帰るか考える中で、「おもてなしの精神」「質の高いサービスをやっていきましょう」という話にまとまり、「みどりでおもてなし」「Green Hospitality Osaka」をキーワードとすることに決まったと伝えられました。智の木協会も今後は「植育」の活動と共に工夫を凝らして、みどりに関連する産業の発展まで繋がれば、と期待されました。
 これまで、智の木協会と「社団」テラプロジェクトが国際的に進めてきた活動の中に、ヘレンド社とのコラボレーションがあり、ヘレンド社がCSRの一環として智の木協会の活動賛同してくださり、MIDORI-SANTAのロゴ入りカップ&ソーサ―を作っていただくことが可能になったと説明されました。国内では、モンベルの寄付付 One Green Tシャツを4,000枚作っていただいたところ、ほぼ完売したとの報告がありました。みどりの基金が返金されるそうです。
 智の木協会が発想した事柄を「社団」テラプロジェクトが実行する形として、10月12日~13日に道頓堀フェスタに参加、みどりのサンタの服装をして船下りを、11月初旬にはGreen Hospitality Osaka の国際シンポジウム開催を計画していることをお伝えになりました。会場は、観光局、吹田万博会場の予定だそうです。資金が集まれば、シンガポール ガーデン バイ ザ ベイからも講師を招くことが出来ます、と代表幹事。また、クリスマスシーズンには、赤いサンタとの共演、11月半ばには大嘗祭がありますので、そこに向けて稲通りを作る計画がある事も伝えられ、12年目の智の木協会は「外」に出て活躍することを目指していきたいと抱負を述べられました。

 

乾杯:小菅 善昭 氏 智の木協会 事務局長

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 創立11年をお祝いして、乾杯しました。創立12年目を迎えるにあたり、これまで恙なく歩んでこられたことに対するお礼と、今後とも変わらないご支援をお願いされました。
(乾杯酒:本麒麟発泡酒

 

講演:大河内基夫氏 智の木協会 理事
(前 地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所 理事長、キリンビール(株)技術開発部長、白鷹(株)製造部長歴任)

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題目:「ビールとワインと清酒の雑学小話―お酒をおいしく飲むために―」

 「雑学小話」とは、何の役にも立たないが、知っていると面白い、友人とお酒を飲む際の話題になるかも、より楽しい酒席になるのでは、といったところです、と飲める人も飲めない人も聞いて楽しいお話の始まりでした。大河内氏は、キリンビール(株)で培われた専門知識を、また、ビールの本場ドイツで学ばれたことを基に、誰にでも理解できるように3種のアルコールについて平易に解説してくださいました。
 本麒麟発泡酒)について、「ビールのような味でビールのような缶に入っていますが、ビールではありません。発泡酒に1滴でもアルコールを添加すると雑酒になり、酒税が安くなります。また、増量酒とも言われています」と説明されました。よく似たものに“のどごし生”がありますが、こちらは穀物不使用のお酒とか。このようなお酒が生まれたのは、世界的に麦芽がなくなったとしてもビールと同じような健康に良い物を造る、安く造るということが目的だったようです。

 

原料による酒類の分類

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 アルコールは糖類から造るものとデンプンから造るものに分類されるとお話になり、分かりやすく教えていただきました。糖類から造る材料としては、ブドウ、リンゴ、蜂蜜、樹液(ヤシ)、砂糖、馬乳があり、原料そのものに酵母が付着していて自然に発酵するため造りやすく、醸造酒と蒸留酒が造られます。雑学として、ブドウが生産されないヨーロッパ北部では、蜂蜜からお酒を造っていたようで、honey moonの語源について解説していただきました。デンプンから造る材料としては、麦、米、芋、トウモロコシ、穀物、珍しいところではリュウゼツランがありますが、発酵の前に必ず糖化することと酵母を働かせることが必要です、と説明されました。こちらも、醸造酒と蒸留酒が造られます。

 

ワインの歴史

 ブドウは果物の中で最も水分が多いため、皮袋に入れて持ち運んでいるうちに、表面についている酵母の働きにより発酵が始まり、ワインができたと言われています。

 

ワインの発展 1 エジプト

古王国時代(BC 2686-2185)
 北部地域の5銘柄のワインが、墓内の供え物リストに記されていたそうで、ワインは一部のエリート層のための高級品だったようです。

新王国時代(BC 1570-1070)
 ワインを熟成させるとおいしくなることが知られており、ツタンカーメン王の墓のワインの壷には、収穫年が書かれたラベルが付けられていたそうです。

・セッタイト(BC 1680-1180)
 赤いワイン、良いワイン、純粋なワイン、蜂蜜入りワイン、甘いワイン、酸っぱいワイン、新しいワインなどの語彙があります。

 

ワインの発展 2 ギリシャ・ローマ

・ワインをエーゲ海の海洋民族から受け継いだエーゲ文化では、西アジアとは異なり、タンパク質源が羊肉から魚に、脂肪が獣脂からオリーブオイルに変わったことで、ギリシャ人は食べ物に合わせて、ワインを水で割って飲んでいたそうです。
ローマ帝国ギリシャを併合した後、水で割ったワインを飲んでいましたが、甘くないワインができるようになり、割らずに飲むようになったそうです。本来、植民地ではパンの原料の小麦を作ってほしいわけですが、ローマ人は植民地でブドウの生産を進め、畑の取り合いになったそうです。

 

ワインの発展 3 ローマ帝国

キリスト教が、四世紀の終わり頃ローマ帝国の国教になりました。
カトリックのミサの参加者は、種無しパンをキリストの御体、ワインを御血として供食し、遊牧民はブドウの果汁と家畜の血で乾きを癒したとされています。乾きを癒すためのブドウの果汁から生まれたワインを神の血として飲むことは驚くことではなく、ワインはキリスト教と結びついてローマ帝国に広まったそうです。ドイツ、スロバキア等では、ワインを飲む文化が無かったようです。

 

ワインの日本伝来

 日本には1549年、イエズス会宣教師のF.ザビエルにより伝来、最初に赤ワインを飲んだ日本人は、薩摩の守護大名島津隆久と言われています。カトリックのミサは、茶道のお点前に大きな影響を与えたと興味あるお話でした。茶道では、ホスチアがお菓子に、赤ワインは緑の濃茶に代わりましたが、供食儀式としての形は残ったそうです。1974年には、山梨県甲府広庭町の僧侶、山田宥教らが大法院の境内で甲州産や山ブドウを原料にワインを醸造したそうです。
 ワインは身体にいいということで、苦味のブドウ酒から薬用ブドウ酒に、そして甘味のブドウ酒が生まれサントリーのポートワインがたくさん飲まれました。他にも、ペプシネブドウ酒(ペプシン入り)、古加ブドウ酒(コカイン入り)が造られたそうです。

 

ビールの始まり

 BC 10,000年頃、農耕が始まり、レバント地方(東部地中海沿岸地方の歴史的な名称)で非脱落性の大麦が生まれ、洪水などで濡れた麦(発芽した)を乾かし、煎っておかゆを作ると甘かった、食べ忘れたおかゆを食べてみると、気持ちよくなった(アルコールができていた)などの経緯がありました。
 BC 4400~3000年頃、エジプト先王朝時代、既に地域社会のビール生産拠点があったのではないかと思われる醸造址が見つかっていますが、メソポタミアの方でもビールを造っていたそうです。

 

ビールの発展

 BC 3200~3000年頃、メソポタミアウルク後期、9種類のビールが醸造されたことが分かっているそうです。大麦、白、黒、赤、甘いビール、水割りビール、100対50、三分の一ビール。
 そして、メソポタミアに「心地よいものはビール、いやなものは遠征」という格言があることもお話になりました。
 BC 1793年ハンムラビ法典の108~110章には、酒屋女主人の代金回収方法、居酒屋で反逆の謀議が行われた際の通報義務などの文章が残っているそうです。
 BC 約600年、新バビロニアでは、ホップ入りのビールがあったらしいです。

 

古代ビールの伝播

 二つの経路を使ってヨーロッパへ伝播しました。地中海を通ってイベリア半島へ伝わったルートは、ブドウが収穫できるためワインと競合したようです。北の方、ウクライナを通ってドイツの方へ伝わったルートは、ブドウ栽培よりもホップの生産に適した所だったため、ビールが伝播していったとのことです。
 シュメール初期王朝時代の円筒印章を示され、その絵の様子から、当時からビールは皆でわいわい言いながら飲むもの、ワインは形式ばって偉い人が飲むものと読み取れるとの説明でした。

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キリンビール 古代エジプトビール ~古王国時代のビール再現~ 

 キリンビールさんが壁画に描かれていた絵を忠実に再現して、現代に蘇らせることを試みられたビデオを見せていただきました。道具は全てエジプトから取り寄せられました。
 材料は、大麦麦芽、デュラム小麦、干したナツメヤシ、干しブドウです。
 水に漬けておいた干しブドウを壷に入れ、ナツメヤシの実を潰したジュースを加えると、干しブドウについていた野生の酵母がその糖分を食べて増殖するそうです。この酵母を更に増やすために、古代ではパンを活用したとあります。「酵母を乳酸酸性下で増やすということは、日本酒も同じで、パンが醸造と結びついていました」と大河内氏。こうしてできたビールは、炭酸ガスをほとんど含まず、現代のビールのような泡はほとんど立たず、アルコール度数はおよそ10%と高く、乳酸の酸味とほどよい苦みがきいて白ワインのような飲みごたえがあるそうです。
 キリンビールさんは、古王国時代のビールの味を追求するため、古代の小麦、エンマー小麦を植物開発研究所で栽培しておられ、ビールの仕込みに十分なエンマー小麦が収穫できる2004年の春には、さらに当時の味に近いビールが蘇るものと期待されています。
 後に、“古代エジプトビール”は商品化され“やわらか YAWARAKA”の名前で販売されたそうです。

 

米酒の始まり 1 中国 殷期

 BC 1600年頃、中国、殷期、麹櫱は、玄米の穀芽を乾燥して粉末にしたもので、麹(櫱=げつ)にカビを生やさせたもの)が用いられたとされています。メソポタミア麦芽がインドを経由して中国へ、中国で麦芽から稲芽へ、稲芽にカビが生じて麹櫱となりました。

 

米酒の始まり 2 中国から日本へ

 BC 1000年頃、中国春秋戦国時代、周礼(周の官僚制度)には、天官家宰の中に王室の酒需要を満たすために、酒正、酒人、漿人の位が記されているそうです。
 BC 700-500年頃、日本は弥生時代、中国は東周の時代、江南で黄麹菌の米麹で醪酒を醸造していたことが分かっています。「戦乱を避けた江南の人が稲作と酒造りを日本に伝えたと仮定すれば、日本酒に用いられる麹が黄麹菌の米麹であることが説明できます」と大河内氏。

 

米酒の始まり 3 日本での発展

 飛鳥―奈良時代長屋王邸址から発見された木簡に、酒、酒人、酒醸所という語と共に麹があり、米と麹と水の配合が記されているそうです。
 平安時代延喜式(927年)の第40巻造酒司の項に、酒造りの記述があり、櫱と小麦萌が用いられていたそうです。

 

酒類の糖化・発酵方法

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単発酵・・・ブドウ酒、ハチミツ酒、リンゴ酒 

単行複発酵・・・ビール、ウイスキー
        原料中のでんぷん質を糖化してから酵母が発酵を開始する。

並行複発酵・・・清酒、焼酎
        原料のでんぷんを糖化しながら同時に発酵を行う。
        糖分の濃度が一切高くならない。酵母は発酵しやすい。

 

米酒の酒母 BC 1000年頃 中国 春秋戦国時代

 漿人とは、王に供する六種類の飲み物(六飲)を掌り、六飲とは、水、漿(果汁の搾汁)、醴(甘酒)、涼(醴が酢酸発酵したもの)、医(梅酒)、障と記されているそうです。漿は臥漿、穀類を生あるいは蒸煮して清水に漬して乳酸発酵を行わせた上澄みのこと。六飲の中で漿を最初に造り、中国では古くから酒造りで漿が重要である、と言われたそうです。

 

生酛(きもと)の原理

 室町時代、御酒之日記(1450年前後)に、乳酸酸性下で酒母を育成した記録があるそうです。菩提泉(南都菩提山正暦寺で造られていた名酒)の醸造方法として、「白米を笊ご飯と共に浸漬して乳酸発酵を行い、三日目に漿水(乳酸を含む酸性の水)を汲み取る」とあるそうです。
 室町―安土桃山時代、多門院日記(1478年~1618年)でも、米、麹、水を混合して9日から27日間かけて酒母を造っていたそうです。

 

清酒醸造での酛(酒母)の種類

 「生酛系酒母で育った酵母は、アルコール耐性が大きく、そのため、生酛系酒母酵母は、発酵の終盤まで発酵力を維持し、グルコースの少ないお酒が出来上がり、辛口の酒質になります」と大河内氏。更に、発酵が終わっても死滅せず、酵母の菌体内から漏出する成分(アミノ酸など)が少なく、きれいな酒質となるそうです。
 清酒醸造の大敵である野生の酵母を死滅させるのは、亜硝酸イオン、高い糖濃度、低温、乳酸、低PHの5条件だそうです。

 

ビール造りとお酒造りの共通点:乳酸酸性下で酵母を増やすこと。

 

ビール醸造の特徴 ワインと清酒に対して

 1.ホップという香草、薬草を使う。
 2.発酵が終わったら酵母を回収して、繰り返し使う。
 3.清酒、ワインと比べて、糖類と有機酸が少ない。
 4.一般的には、大きな工場で醸造される。

 

ビールに使われた薬草・香草の薬効

 ホップ以外に使われていたハーブとしては、ベイベリー、セージ、ヤロウ、ローズマリー、アニス、ニッケイ、ニガヨモギ、ハッカ、チョウジなどがあるそうです。ビールの原料に薬草やハーブが使用されていたというお話は、非常に興味があります。
 薬草とハーブの配合物はグルートと呼ばれ、グルートの配合は秘密にされ、国王が販売権を独占したそうです。グルートで醸造されたビールは、グルートビールと呼ばれ、グルーとの中でヤチヤナギが主流になってきたそうです(ホップもグルートの一つだった)。

 ヤチヤナギ:(Mirica gale)北ヨーロッパの低温地域(沿岸、河口域)に自生している植物。北海では、イギリス、フランス、オランダ、ノルウェーバルト海では、デンマーク、ドイツ。イギリスは全土、北ヨーロッパの海岸、河口域には今でも普通に自生している植物。葉や実を使って造られている。

 

中世のビールの醸造

  • 5世紀・・・主婦が造っていた。
  • 8世紀・・・銅製の釜による効率化、職業醸造家の出現。
  • 9世紀・・・修道院酵母が入ったままのビールを飲んでいたので体に良かった。修道院は技術革新の中心地だった。
  • 11-12世紀・・・商業醸造の発展。
  • 13-14世紀・・・都市の市民醸造
  • 15世紀・・・修道院と市民醸造所が対立した。

 

ホップビールの隆盛 ホップは、新石器時代からヨーロッパにあった。

 9世紀、ホップの使用が盛んになり、ホップだけのビールが醸造されだしたそうです。13世紀初期~中期になりますと、ヤチヤナギが自生する地域ではグルートビールが造られ、自生地以外ではホップビールが造られたとあります。13世紀後期になりますと、北ドイツでホップビールが醸造され、輸出されました。オランダではグルートビールによる税収の減少を恐れ、ホップビールの製造を禁止しましたので、ホップビールの醸造が遅れたそうです。イギリスではホップを使わないビールをエールと呼び、ホップを使うビールを「ビール」と呼んだそうです。

 

ホップの葉と毬花

 ホップの原産地は中国で、メソポタミアから北へ広がりました。ヨーロッパではハーブとして古い絵に描かれているとか。50~60年前までは手摘みで収穫し、日本では30年前位から機械化されています。ホップには苦みがありますが、ホップの苦みだけは一切毒性が無いそうです。
 ホップはペレット状にして運搬しますが、酸化するため液体CO2で有効成分のみ抽出して缶詰で運ぶそうです。
 「酵母が上に浮かぶ、あるいは下に沈むので、それを回収して再度使います。ワインも清酒酵母をもう1回集めて使うことはせず、この点が大きな違いです」と大河内氏。

 

ビールの器

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 大河内氏こだわりの器を見せていただきました。ヨーロッパ、とくにドイツでは各種こだわりの器があるようです。
 ドイツの居酒屋では、自分専用のクルークを預けていたそうで、クルークの蓋は目印だったそうです。

 

醸造酒と蒸留酒

  ビール、清酒、ワインは醸造酒、身体のためには醸造酒がよいとされていますが、日本ではスピリッツタイプ(蒸留酒)の消費が多いそうです。税金が安いことがその理由とか。

 

スロバキア ワインについて (株)マイティワイン ソムリエ 三好氏

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 マイティワイン様は、智の木協会の企業会員です。イタリア、フランスに比べ、スロバキアワインは日本国内での流通量が少なく、認知度が高い方ではありませんが、ブドウ生産の北限であり、質のよい原料を使用して最先端の設備で造られています。
 (株)マイティ様は、2018年10月にスロバキアワイン専門店Dufam(ワインショップ&ワイン バー)をオープンされましたので、ソムリエ三好氏からスロバキアワインの解説をしていただきました。また、智の木協会会員のみのセールの情報をいただきました。
 本日の試飲ワイン

  • 白:ヴェルトリンスケ ゼレネ(ムルバ スタンコ)・・・さっぱりした白ワインで、国内外で評判が良く、国賓級の人に提供されるワイン。繊細な日本料理に合う、と評されています。
  • 赤:フランコフカ モドラ・・・代表的なスロバキアの赤のブドウで、Dufamにはこのブドウだけで7~8種類のワインがあるそうです。

 

閉会のご挨拶:大塩 裕陸 氏 智の木協会 理事

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 「マイティさんのワインをいただきながら、大河内氏のお酒のお話をお聴きし、大変幸せな気分になりました」また、「お酒は楽しく飲むに限ります。今日の講演には楽しくなるような蘊蓄がたくさん出てきましたので、今後は話題一杯で楽しく飲めると思います」と、いつもながらのにこやかな口調でお話になりました。
 智の木協会につきましては、「元号も変わりましたので、これから新しいステージに向かっていけるのでは」と、今後のご支援をお願いされました。

 

試飲アルコール

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お土産

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「第4回ヘレンドカフェ」(2019年7月27日開催)のご報告

 羽衣国際大学教授 中井久美子先生を講師にお迎えし、「世界の家庭料理とお菓子」のタイトルでお話いただきました。中井先生は、「社団」テラプロジェクトが定期的に開催しております「スイーツマルシェ」のリーダーでもあります。

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 「世界の家庭料理とお菓子」がライフワークでもあります、とおっしゃるくらい大好きな飛行機に乗って、多くの国々を旅して、それぞれの国の料理やスイーツを実際に食されたり写真を撮ったりなさっています。
 今回はその中からウィーンの有名な「ザッハトルテ」から始まり、アジア、ヨーロッパなどなど、あまり聞いたことのない料理までご紹介していただきました。

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 伝統的なスイーツに加え、次々と新しい製品が生み出されていくスイーツの世界、この度のお菓子「桃太郎」は、ケーキ工房フローレンス様作、桃を丸ごと一つ使った贅沢なお菓子です。今や、ネットでも評判で、期間限定商品として定着してきております。
 8月、桃が入手できる間中、販売されるそうです。

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第1回 智の泉談話会 報告

1.開催日時:2019年7月6日(土)12時~14時

2.開催場所:「社団」テラプロジェクト Aゾーン

3.参加者 :企業賛助会員:3社 個人会員:7名  外部参加:3名 事務局:2名

4.話題提供者:高野化成工業(株)代表取締役社長 山田 繁雄 氏

5.談話会(概要)

 (1)趣旨説明(事務局)

 智の木協会の新しい活動として「智の泉談話会」を開催することになりました。
 智の木協会の企業会員あるいは個人会員の方々に話題をご提供いただき、それを基に「あーでもない、こーでもない」と話し合いながら交流を深めていきます。

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 (2)話題提供

 高野化成工業(株)では、厚さ2μのフィルム印刷を行っている。厚さ2μというのは、サランラップの1/5から1/10の厚さで、スマホの画面の黒い部分等に使われている。販売先は某大手メーカーで、高野化成工業には営業部隊が無い。
 他に、(株)上蓮製麺と(株)office FUKUROUを経営している。(株)上蓮製麺は、半田手延べ麺を製造している。(株)上蓮製麺は、高野化成工業(株)の幹部の実家だったが、経営難に陥った。幹部に辞められるとこちらが困るので、経営を手助けした。半田手延べ麺に野菜(ホウレンソウ、トマト、カボチャ、ニンジンの4種)を練り込んだ「caroday」を開発して、経営を立て直した。素麺は夏しか売れない商品なので、素麺をパスタのように夏以外でも食べるようにするためだった。野菜を練り込み栄養価をアップするとともに、色もカラフルにした。「caroday」を細かく切った「ママらくちん」は離乳食で、無塩で添加物が一切ないのでコープ自然派で取り扱われている。また、香港と上海でも販売している。(株)office FUKUROUは、AIによる作曲の開発、アーティストに対しての曲の提供を行っている。プロダクションのような仕事もしており、白井大輔(ワライナキ)やバイオリニストが所属している。
 何をやりたいとか特に目標を持っているわけではない。趣味も、仕事しかしないので、仕事が趣味ということになるのかも知れない。常に新しいこと、面白いことを探しているが、事業として成り立つかどうかは「飯が食えるか」を基準としている。

 (3)質問など

 ① 山田社長のお名前と会社名(高野化成)が違うのは、どうしてですか?
 高野化成は、元々は高野家が経営していました。経営が思わしくなくなり、創業者の遺言で再建のために高野化成に入社しました。経営が上向いたので退社しようとすると、銀行が「山田さんが手を引くなら、銀行は融資を継続できない」と宣言しました。このため、高野家も経営を私に任すことになりました。

 ② 米中貿易戦争と日本の対韓輸出規制によってスマホ産業では不透明感が強まっていると思いますが、経営者としてどのようにみておられますか?
 未だ、何かを判断する状況ではないと思っています。ただ、評論家が言うことは信用できません。バブルの頃、評論家たちが起業したようですが、ほとんど潰れて残っていません。

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6.事務局後書
 事務局の不手際で、参加者の自己紹介が長時間に及び、談話に十分な時間をとれませんでした。次回は、テーブルの配置を工夫し、話題提供、質問、回答、話題提供者からの質問など、双方向の談話が続くように配慮いたします。

智の木協会の活動 ~One Green Event~ (2019年6月30日)

 2019年6月30日(日)、「One Green Event」として「The Beatles TRIBUTE LIVE」がLOVE ME DO プランニングの主催によりナッジスタジオ ライブホールにて開催されました。
 出演者は、バルサミコ・アンド・ザ・ビネガーの方々。出演者、関係者の面々は、都市緑化推進One Green Tシャツ(mont-bell×テラプロジェクト)を着用し、参加者の皆さんに「植育」をアピールしました。
 このイベントの紹介とOne Green Tシャツの着用を勧めてくださったのは、智の木協会吉信勝之理事です。
 智の木協会大河内基夫理事は、「植育」を理念として掲げる智の木協会と、緑化推進の数々のプロジェクトを推進している「社団」テラプロジェクトについて説明しました。

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第13回グリーンツーリズム(2019年6月7日実施)

~和歌山 伊太祁曽神社参拝、中野酒造を訪れる一日~ レポート

 

 伊太祁曽神社は、和歌山市伊太祈曽(いだきそ)に鎮座し、神社には木の神様、「五十猛命(いたけるのみこと)」を祀ってあります。
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 第10回シンポジウム(創立10周年記念)で、禰宜の奥重貴氏に「木の国、こんにちは~木の神様のお話~」のタイトルでご講演いただいたことをきっかけに、「社団」テラプロジェクト主催「第一回名木シンポジウム」でもご講演いただきました。
「植育」を理念として掲げている智の木協会としましては、「木の神様」「植林をして廻った神様」を祀ってある伊太祁曽神社は、まさに智の木協会の活動を象徴すると言えるかと思います。
 伊太祁曽神社和歌山電鐵貴志川線沿いにあり、一度は貴志川線の廃止が決まりましたが、地元住民たちでローカル線を残そうとの思いから、岡山県両備ホールディングス(株)の小嶋光信氏に相談されました。この住民活動の中心的存在が奥氏でした。
 小嶋氏には智の木協会、第7回シンポジウム(平成26年、2014年)でご講演いただき、貴志川線を残すことやたま駅長のこと等お話いただきました。その時点では伊太祁曽神社と結びつきませんでしたが、奥氏のご講演で全てが繋がりました。
 この度は、まず、バスで貴志川線貴志駅まで行き、ネコの形の駅舎やニタマ駅長の写真を撮ったりした後、「たま電車」あるいは「うめ星電車」で伊太祈曽駅へ移動し、そこから神社まで徒歩で向かう行程を組みました。
 ところが当日は朝から雨、警報が出ている中での出発でした。運転手さんと参加者21名、合計22名を乗せたバスは、阪神高速、阪和道を経て貴志駅へ向かいました。車中では自己紹介、伊太祁曽神社の簡単な説明等、有意義な時間を過ごしました。高速道路をおりた頃から道路に水が溢れ、「この雨はちょっと普通じゃない・・・」と感じるようになりました。それでも予定通りに貴志駅でおろしていただきました。丁度、台湾からの観光客を一杯乗せたたま電車が到着しましたので、それに乗る予定にしました。

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 程なく、吉礼(きれ)駅付近で線路冠水のため電車は動きませんとのアナウンスがあり、やむなく観光バスに引き返すことにしました。その間、参加者はたま電車に乗り込みました。著名な三戸岡鋭治氏のデザインによる細部まで行き届いた夢溢れる設えは、いつまでも留まっていたい気持ちにさせる体裁で存分に楽しみました。

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 伊太祁曽神社では、禰宜の奥氏始め関係者の皆様にお出迎えいただきました。その頃には雨も小やみになり、五十猛命(いたけるのみこと)、大屋都姫(おおやつひめ)、都麻都姫(つまつひめ)を祀ってある本殿で奥氏に祝詞をあげていただき、智の木協会の代表が玉串を奉納しました。
 貴志駅前の自然食品の店「しおん」で準備していただいたお弁当を楽しみながら、奥氏と歓談し、由緒ある神社の雰囲気に浸りました。

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 昼食後は「木の俣くぐり」やチェンソーカービングについて説明していただきました。「木の俣くぐり」では実際にくぐってみて「お腹が出ていて苦しい!」だの、「あら、十分にゆとりがあるわ」などなど会話が弾みました。この木は、御神木の杉の木で、昭和37年に落雷によって燃えて枯れ、中が空洞になって人がくぐれるようになったため、神話にちなんで厄難除け木の俣くぐりとして神社に据えられ、参拝者に親しまれています。

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 チェンソーカービングは、4月に行われる「木祭り」の際に、チェーンソーアート国際大会優勝者の城所啓司氏が干支の動物を削る実演後に奉納されます。今年の木祭りでは、一巡したためリメイクが行われました。

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 伊太祁曽神社を後にして、次の見学地の中野酒造へ向かいました。神社では小ぶりになっていた雨も、また大降りになっていました。約3千坪の日本庭園を所有しておられる中野酒造さん、まず日本庭園から見学させていただくのですが、生憎の雨、いきなり梅酒つくりの工程見学からスタートしました。実際に見学できない箇所については、ビデオ見学となりました。そこでもハプニングが!停電となりました。それでも復旧後は試飲とお買い物に余念のない参加者たち、急がないと後から台湾観光客が押し寄せてきます。

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 雨の中帰路へ。だんだんと晴れてきました。車中では、アマゾンカムカム(株)社長様のご厚意により、会社の製品2種(カムカムキャンデー&カムカムグミ)のうち、じゃんけんで勝った人はグミを、負けた人はキャンディーをいただきました。お土産付で、大雨で濡れたことなどすっかり忘れて、楽しいバスの旅でした。
 伊太祁曽神社禰宜奥様、神社の皆様、中野酒造観光課主任の田中様、お世話になりましてありがとうございました。観光バス運転手の原様、大雨の中安全運転に心がけていただき、感謝いたします。

「第3回ヘレンドカフェ」(2019年4月24日開催)のご報告

 第3回ヘレンドカフェでは、講師に智の木協会会員の岩田賢造氏をお招きし、主に生産量世界第1位のブラジルコーヒーについてお話いただきました。
 岩田氏は、電気・電子がご専門で、お仕事でブラジルへ行かれた際にコーヒー園をご訪問、そこで働く方々にお会いになり、豆の干し方や豆の外皮除去の方法などを実際にご覧になりました。
 また、神戸にあります「UCCコーヒー博物館」についてもご紹介いただきました。

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 特定非営利活動法人 里山倶楽部(枚方市)の竹炭焙煎のコーヒーを、里山倶楽部代表の中村仁美様に淹れていただき、ケーキ工房フローレンス様の「木苺ショコラの香り」ケーキと共にいただきました。
 里山倶楽部様は、智の木協会協力会員としてご入会いただいております。

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 次回もその季節に相応しいケーキを作成していただきます。
 ヘレンドカフェ10回ご参加で「MIDORI-SANTA シリアルナンバー入りヘレンドカップ&ソーサー」を入手できます。
 智の木協会会員の皆様に発信しておりますので、この機会にぜひご参加ください。
 ご都合のよろしい日にご参加いただければ、結構です。

第12回 智の木協会ワークショップ レポート

  • 日時:平成30年7月13日(金)
  • 会場:大阪富国生命ビル4階 「社団」テラプロジェクトAゾーン

司会:智の木協会 理事 大河内 基夫 氏

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開会のご挨拶:智の木協会 専門委員 豊田 桃介 氏
清水建設株式会社 関西支店 開発営業部長)

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 智の木協会専門委員の豊田氏から開会のご挨拶をいただきました。最初に、参加者の皆様に、ご参加と智の木協会の活動に対するご支援のお礼を述べられました。
 本日の講師の緑・匠 又右衛門(金岡信康氏)については、「創業明治13年、日本で最も古い花卉園芸会社の代表を務められている一方で、世界をフィールドにしてみどりのプロデューサーとして活躍されています」と紹介されました。「その活躍は、テレビや雑誌などでも拝見することができますが、本日は直接お話をお聴きできますので、ご期待ください」と締めくくられました。

 

智の木協会と関連行事に関する説明:智の木協会 代表幹事 小林 昭雄 氏

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 智の木協会が関わる事項について説明がありました。5月に、「うめきた2期開発事業者募集」があり、昨日(7月12日)開発事業者決定通知が届いたことをお知らせいただきました。
 その事業者の中に、「社団」テラプロジェクトも入れていただけたそうです。みどり化を進める活動を運営しているのは「社団」テラプロジェクトですが、その中心となる組織は智の木協会であることを強調されました。
 2期の開発事業者として、三菱地所(株)を代表とするグループに決定、その中に阪急、竹中工務店等が入り、それに協力するという形でテラプロジェクト、智の木協会が入っているそうです。うめきたの場所の説明があり、公園などに智の木協会の“智”を入れていくということで、参加要請があり採択されたということです。
 コンセプトは、共に考え、一緒に創る“with”イノベーション。関係性を中心においた大阪発イノベーションの仕組み「みどり」がつなぐうめきた共創エコシステムです。「ハンガリーのヘレンド社のカップ&ソーサ―に大文字の“MIDORI-SANTA”を入れていただきましたが、“みどり”のコンセプトの中にも大文字の“MIDORI”を使っています」と代表幹事。
 また代表幹事は、「色々な形で社会提言できていますし、ここ3年間皆様のご協力をいただいて花壇作りという実装もできています。着実にその思想がまちの中に浸透してきていることは、喜ばしいことです」と述べられました。
 続いて昨年も行われた「植育」イベント、みどりのサンタの「植・食、健康」フェスタ2018シンポジウムについての説明がありました。今年は、9月から12月までの4か月間行われます。9月14日オープニングシンポジウム、「第1回アーバンアグリカルチャーの目指すところ」については、「第1次産業から第7次産業、Joyful Agri.へ」というテーマで、大阪府と共に進めますが、我々としては近郊農業の形をジョイフル・アグリとして提案していきます」と新しい単語が飛び出し興味をそそりました。また、9月28日開催の「名木シンポジウム」については次のような説明がありました。「日本にはお寺お宮がありますが、衰退してきています。そこでお寺お宮を巻き込んで新しい活動をということで、金岡先生、木の神様を祀ってある伊太祁曽神社さんに思いを伝えたところ、伊太祁曽神社に新しい祭をつくる話が持ち上がり、それに向かってのシンポジウムを開催することになったのです。」
 本日の講師については、「金岡氏は独特の思いから仕事を進めておられますし、我々と共に社会実装していただくということで、(一社)日本みどりの研究所を一緒に設立させていただきました。智の木協会の思いを担っていただく組織として発展させていただければ嬉しいです。また、みどりのサンタアンバサダーとして、世界中を走って活躍していただいています。本日のお話も大変興味深いものと期待しています」と紹介されました。

 

講演 緑・匠 又右衛門(金岡信康氏)
(有限会社 薔薇園植物場 代表取締役 社長)

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タイトル:「世界の感動を日本に。日本の感性を世界へ。」

1.バラエングループとは
 (有)薔薇園植物場が中心になって、花卉園芸全般の卸売りを軸にして、関連会社4社と共に環境関係、植物工場、デザイン事業など植物や自然に関わる仕事にチャレンジしています、と現状を説明されました。
 薔薇園植物場は、初代金岡又右衛門氏が宝塚で明治13年に創業され、明治中期にかけて宝塚のまちづくりにも大きく関わられたそうです。昭和初期になると、2代目金岡喜蔵氏が宝塚で薔薇の生産に深く関わられ、海外への輸出、国内での通信販売を積極的に行われたそうです。昭和中期・後期には、3代目金岡信也氏が、業界に先駆けて量販店との取引を開始されました。信康氏は昭和後期に入社され、その頃は切り花、小売部門の担当でしたので、先ず、量販店に対する物販のための加工工場を設立、その際に全ての事業の見直しを行い、切り花の中卸ローズガーデンを立ち上げられたそうです。生産者の安心・安全な花卉生産を目指して、アースフィール設立、その時期にはまた、ガーデンデザインなどを行うNob’sデザインを設立されました。
 約12年前にバラエン植物場の代表に就任された金岡氏は、鉢物卸のローズガーデンプランツ(株)を、約6年前には植物の輸入を行う貿易部を、平成27年にはガーデン空間デザインの会社、Tea’sデザインをと意欲的に設立され、これを機に開拓者であった初代又右衛門の名前を借り、気合を入れて活動を始められたということです。

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2.又右衛門とは
 ご自身は、金岡信康は経営者として、又右衛門は各地を回る人間として展開しています、とおっしゃる金岡氏。その切り替えは私ども凡人もぜひ見習いたいものです。
 又右衛門としての活動は、植物や現地の人を第一に、植物の命にこだわりを持つこと、世界を回り植物や現地の人、生産者と直接触れ合いながら思いを共有することを第一に考えておられるそうです。
 ご自身の進むべき道の指針となっているのは、先代、先々代の言葉であり、精神的にも体力的にも厳しい時期を乗り越えさせてくれたと申されました。先代は、「お前を育てたのは社会なので、社会に恩返ししなさい」と。また、先々代が戦時中の厳しい中で、昭和16年に発行されたバラエン植物目録第三百七十六號に以下のことを記載していることを胸に抱き、世界へ船出しましたと述べられました。「物は貧しくなっても心まで貧しくすることは、世界をリードする大国民らしくない」「~~追いつめられるべきではなく、どこかに余裕を残しておくべきであろう」「国民的基礎の上に立つ生産的な文化政策、健全なる娯楽の必要さは今日痛切」「~~ますます優秀品の生産や新種の作出に無報酬の努力こそ、我々に課せられた公栄有る職域奉公と~~」、つまり、「歴史を継承しこれを発展させて次代の日本国民へ譲り渡すべき重大な役目がある」と。

 

3.世界の感動を日本に

 1)世界の植物
 世界のユニークな植物輸入を始められて僅か6年ですが、国際ルールに法りパートナーを公開して貴重な植物を取り扱い、活動している日本では数少ない企業と自負しておられます。金岡氏の活動は、現地で生産者や専門家から高い評価を受け、スペインで3社、オーストラリアで3社の世界を代表するナーサリーの日本総代理店、正規代理店として認められているそうです。
 金岡氏は、輸出入のライセンスを取得して生産者の権利を保護し、その価値を高めていこうとしておられます。

①スペインを代表するナーセリーは、オリーブやデザットプランツ、ユニークな植物を送り出すために、日本向けの管理施設に「又右衛門エリア」を設けてくださり、素晴らしいパートナーシップが出来上がってきています。そのパートナーシップは現在の活動の礎になっていますとお話になりました。
 スペインといえばオリーブ、樹齢約100年、300年~1000年位の古木、その存在感と花言葉がすてきということもあり、最近多方面から問い合わせがきているそうです。

  • ユッカ ロストラータ「ブルースワン」:
    葉が広がるこの姿を「ブルー・スワン」と名付け、専門家から高い評価を受けた。現在の、日本で流通している同様の植物の80%がメキシコ産だが、それに比べてスペイン産は明らかに品質が高い。
  • ユッカ ロストラータ ヒドラ
    この名前の由来は、ギリシャ神話に登場する9つの頭を持つ大蛇、ヒドラに似ているところから来た。
  • ユッカ リギタ、ユッカ フィリフィラ:
    耐寒性があり、-20℃くらいまで、また、水もあまり必要ないなどの特徴を持つ品種。
  • アガペ:人気で確保が難しくなってきており、大型のアガペはなおのこと入荷が難しく問い合わせが多い。
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③オーストラリア
「オーストラリアでもビジネスパートナーと仕事の枠を超えたお付き合いがあります」と金岡氏。海外ではペーパーでの契約のみならず、家族的な付き合いができ、植物の購入の際に反映されているそうです。

  • グラスツリー:
    日本へ移される時には土を全て落とす必要があり、その際に菌根菌も全部落ちてしまい、輸送は大変難しかったが、両国の研究者と提携し成功させることができた、と金岡氏。グラスツリーは1年に1㎝位の成長速度で、現在、大きさが1m以上のものの海外への輸出ができないという規制がかかっており、このような大きなグラスツリーが置かれていることは、自分たちが世界でもトップクラスだと言っていただける、と金岡氏。
  • ボトルツリー:
    オーストラリアのシンボリックな木の一つで、愛らしい形状は多くの人の注目を集めている。
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  • リーファーン類:
    日陰と水が好きな植物で、活躍できる場面が多くあり、最近人気が高まっている。
  • イカス(ソテツ類):
    ほぼ全種ワシントン条約の規制対象品種になり、動物に例えるならばオランウータンやパンダの部類で、商業目的の輸出入は法律で禁止されているが、種から育てたという証明と輸出入のライセンスを持っている事業所は輸出できる。金岡氏のパートナーはライセンス保持者のため、法的に認められた形で輸入ができる。
  • イカス(マクロザミア ムーレイ):
    300年に1メートル位しか育たない貴重な種類。紹介されたサイカスは樹齢約1000年。木肌が黒いのは、山火事の跡で、山火事に遭っても生き延びるとか。現在豊中の植物場に40~50本置いてある。
  • バオバブ(アダンソニア グレゴリー):
    マダガスカルに8種類、アフリカに1種類、オーストラリアに1種類ある。
  • その他の国々からもユニークな植物が日本向けに用意されている。

 

2)輸入するための手順、現地での活動
 現地の人に任せっきりになることが多い中、金岡氏は現地に出向き一緒に作業を行うとか。分からないことがあまりにも多いからだそうです。

①採取:できるだけ日本の気候に近い環境のものを採取するように心がけている。
②洗浄:日本に入れるためには、土は一切付着していてはいけない。根の強い植物は高圧洗浄できるが、弱い植物ではホースで水を流しながら土を落としていく。場合によってはハケで落としていくこともあり、1本の木に数日かかることもある。
③養生:そのままラッピングして日本へ送る業者もある中で、金岡氏は土に代わるピートモス等に植え込み、発根したかを確認後輸送。1年位かかりコストアップになるが、輸送中や日本到着後に枯れるようなことがほとんどなくなった。
④輸送:飛行機かコンテナを利用、常温であるいは冷蔵保存で運べるコンテナがある。規格外の大きさのものを運ぶ、フラットラックという種類もある。コンテナでも、船でも(船底と甲板では温度が異なるため)温度調節についていつも指示する必要がある。

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⑤入国:ヨーロッパからは約40日、オーストラリアから約2週間かかって入国する。コンテナヤードで蓋を開けて以上がなければ本検査へ。倉庫へ移して植物の品種によって異なるが、30~50%抽出しての検査。鉢から全部抜き根を細かく見ていく。
チェック項目 1.害虫 2.病気の有無 3.土の付着
害虫の場合は燻蒸処理する。最も困るのは、土が付着していたという場合で、1本でも土が付いていたら残り全ての検査になる。全部洗って土を落とすという作業になるが、実質日本に着いてからは洗うことができない。理由は、洗い流した土が排水溝を通って日本に上陸してしまうため。
⑥養生→品質チェック→出荷:順次植物を出荷。
⑦この春に来た植物:
 パラグアイ産 バラボラッチョ
 スペイン産  1000年オリーブ 豊中で養生期間に入っている。

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4.日本の感性を世界へ

 1)海外での活動
 時代の流れとして、世界の多くのデザイナーは、草花や木を鑑賞することを主としたデザインを発表して、それが評価を得ているとのこと。そこで金岡氏は、日本人として先人が残してくれた日本文化を再構築し、そういうコンテンツのデザインを世界へ向けて発信したいと思っておられます。3年前に立ち上げられたTea's Design の活動のムービーの紹介がありました。写真、音楽、歌、全て又右衛門チームメンバーだそうです。

①2016年4月、ベルギーで開催の王立園芸協会主催の花の展覧会に出展。5年に一度の祭典で、200年以上の歴史があり、ランドスケープに重きをおいた祭典。
海外の変わった植物を使い、その中に日本人の感性、光や陰を使った提案をし、外国人部門で銅メダルを獲得。

②2016年、Watahan(綿半)という企業のスポンサーシップのもと、世界最高峰のガーデンショーと言われる、英国王立園芸協会主催の Chelsea Flower ShowにYano TEAがメインデザイナーとして参加。3つのカテゴリーがある中、ショーガーデン部門へ出展し、シルバーメダルを獲得した。ショーガーデン部門は、Chelsea Flower Showでも最も花形の部門。日本人ではまだショーガーデンでは金メダル獲得者は無い。

③2016年 Seoul Garden Show
ソウル市長からチームのデザイナーが特別招聘を受けて、メインガーデンのデザインを行った。金岡氏が植物のプロデューサーとして参加。全面にソウル、背面に東京をイメージして作庭した。ソウル市の花コスモスを多く使った。日韓ワールドカップ記念公園内に永久的に保存されている。

シンガポール ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ
世界を代表する植物のテーマパーク。ここには世界中からユニークな植物が集まって来ている。ここに植物を供給しているサプライヤーがパートナーであることから、彼らと活動することで世界的なネットワーク規模で植物調達が可能になっている。又右衛門チームも、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイに多くの植物を輸出したりイベントのプロデュース提案をしている。大型の植物、ツバキ、サクラ、ドウダンツツジ、ボタン等の輸出、特にボタンは高い評価を得ている。モクレンなどの樹木、チューリップ、ベゴニア、トルココキョウ等の切花も多く輸出した。シンガポールだけでなく、各国からの訪問者に日本産の植物のすばらしさを分かってもらった。

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2)輸出プロジェクト

① 華道書道の若い匠を支援しながら、独特の空間を作り上げて世界へ発信していこうとしている。

② FOREST FARM
おかあさんといっしょ」の番組や無印良品のイベントにも採用されてきたプログラムがあり、これらは海外でも非常に高い評価を受けている。このような自然環境学習プログラムによって、世界中の多くの子どもたちが自然に関わりながら学べる機会を作っていくことによって、次世代でも一つでも多くの大切なことを伝えていきたいと思っている。

③ 植物系の建築を進めている国が多くなっていることについて、「植物の必要性を感じているからではないか」と金岡氏。そして、小林代表幹事がずっとエデンプロジェクトを理想として掲げていることから「うめきたのような所にも近い将来このような建築物が造られることを望んでいる。我々も先生の力を借りながら更に進化させた形で実現にむけてやっていきたい。世界中で仲間と植物とを融合させ、世界に胸を張って紹介できる植物を育てていきたい」と抱負を述べられた。

 

5.国内の様々な活動

  • ウッドデザイン賞の受賞
  • IOCバッハ会長の名誉博士号授与式記念植樹で。現役の選手のオリーブの冠を香川県の生産者の方々と一緒に作った。
  • 大阪堂島リバーフォーラムで開催された、team Lab. Jungleというイベント。
  • オーストラリア大使館で開催された Australlia Day in Spring
  • 普段はコンクリートの打ちっぱなしの無機質なエントランスに、オーストラリアの風景をという依頼を受け、プロデュースした。

6.国際交流プロジェクト

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1)命をつなぐプロジェクト バオバブ編:日本最大のバオバブ移植プロジェクト。
 以前からオーストラリアでは大規模な開発が行われており、その地域でバオバブが伐採されてしまうため、金岡氏は現地のパートナーの協力を得てオーストラリア国内で一旦移植されたそうです。日本の気候ではバオバブは生きられませんが、広島市の植物公園の大規模温室のリニューアルオープンに合わせて、そこで受け入れ可能との情報が入り、日本の環境に合うバオバブを見つけられました。枝を全部落とし、5~6時間かけて重機で根を掘り起こし、洗浄や殺菌消毒を行う施設に送り、慎重に作業を進め、洗浄後、2か月間乾かし、完全にラッピングして日本へ輸送されました。約2週間後大阪港へ着き、検査合格後広島へ、無事植栽を終えられた金岡氏。このプロジェクトには2社のテレビカメラがオーストラリアへ同行し、密着取材し1時間番組にして放映されました。6月には秋篠宮殿下が訪問され、金岡氏が説明されたそうです。

2)マダガスカルプロジェクト
 厳しい生活環境の中で人々は世活のために固有種の栽培、許可されていない植物の採取、炭にするなどし、急速に自然破壊が進んでいることをお話になりました。150円稼ぐために180kgの木を焼きCO2を出して炭をつくり換金している現状を目の当たりにして、金岡氏は木彫り製品を作ることにより150円を稼げるプロジェクトを立ち上げられました。本日の参加者へのお土産の木彫り製品こそがそれです。「皆さんの支援こそが彼らの生活の支援になり、環境保全に繋がります」と金岡氏。
 現地では他にも大人や子どもに雇用を創出し、学校も作っている人がおられ、彼らが作った鉄製品も近々日本に並ぶようになるそうです。

 

7.今後の展開

 これまでに「社団」テラプロジェクトの専門委員として精力的に活動を続けてこられた金岡氏、みどりの研究をするために、東京農大に隣接する進化生物学研究所で学ばれることになられたそうです。更に、みどりの力を最大限に活用し、社会実装のための研究をしていく(一社)日本みどりの研究所を小林昭雄理事長の支援の元、立ち上げられました。
 「みどりのサンタは赤いサンタと異なり、植物の素敵さを伝えるために、365日活動することができる」ことから、「このような機会を通じて植物からのメッセージを伝える活動を大切にしていきたい。海外でもその活動を伝播するために、ヨーロッパ、アフリカ、アジアなどを訪れ、シンガポールのガーデンズ・バイ・ザ・ベイでは、多くの国々の人たちと話をすることができました」と述べられました。

 

8.世界を舞台に活動するチームづくりをめざして

 マダガスカルでは、子ども達と植林活動をされた金岡氏。彼らには、誤った道を進んだ先進国のやり方を繰り返してほしくない、この素敵な自然を守りながら歩んで行ってほしい、もし、先進国と同じ道を歩みそうになった場合には、それを止めることができるチームや人間にならなければいけないと力説されました。
 「外国語は話せません」とおっしゃる金岡氏ですが、世界中30か国以上を訪れて人々と繋がり支えていただいている、と述べられ、話すことができない植物に出会うことで植物から多くのことを学び教えてもらった、と自信を持ってお話になりました。植物は酸素を作り出し、自分の一部や全てを差し出して野菜や果実として私たちに食を与えてくれている、衣食住、薬草までも、無言で当たり前のように全ての命の継続を支えている、と明言されました。

 

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9.最後に

 「今後も、植物、緑の力・すばらしさを、そして植物からのメッセージを世界の舞台で発信していきたい。本日皆さんに会えたのもみどりのお陰だと思っています」と謙虚におっしゃいました。世界中を回られることで、これだけ最先端の力が発揮されても、経済力があっても戦争や環境破壊は無くならず、厳しい地球環境を目の当たりにされることが多く、今後はみどりの力を最大限に生かしていきたい、みどりの力によって地球をデザインしていきたい、と抱負を述べられました。
 金岡氏のみどりに対する考え方、行動、全て、植物に携わる職業人としてよりも人間として植物に畏敬の念を抱かれる姿勢に頭が下がります。
 日本では、あまりにも植物が周りに繁茂し、むしろ草刈りや除草の大変さが身に染みて植物の持つ力やその偉大さ、大切さを忘れてしまっているところがあります。世界の実情を考え、今一度植物について、植物の力・偉大さに気づかされるご講演でした。

 

閉会のご挨拶
智の木協会 企業会員 スシックスジャパン株式会社 代表取締役 三嶋 浩義 氏

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 「柿の葉寿司の会社です」と自己紹介されました。小林代表幹事との接点は「柿の葉ってみどりだねー」ということから発展し、発想豊かでいろいろなことをおっしゃるそのことが、どこかで生きてくるとの思いで智の木協会に入会しました、とお話になりました。
 柿の葉寿司について、「葉には抗菌作用があって、先人の知恵で柿の葉で寿司を押すことにより空気を出し、鯖を酢でしめると長持ちしますので、江戸時代頃から作られてきました」と説明されました。また、北新地で開発された「5種のいなり寿司」について、交流会でも準備していただきましたので味わってください、と報告されました。

 

交流会の様子

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