智の木協会活動報告

智の木協会の活動報告ブログです

智の木協会 第9回シンポジウム レポート

 平成28年10月31日(月) 17時30分〜18時30分

 於:大阪富国生命ビル4階 「一社」テラプロジェクト Aゾーン



司会:智の木協会 主幹 加藤 久明 氏
開会のご挨拶:智の木協会 特別顧問 平井 堅治 氏


 お集まりの皆様にご参加のお礼を述べられました。そして、講師の大澤先生について「日本を代表する食品科学の研究者であられ、2006年ゴマに含まれる成分、抗酸化作用を持つセサミノールに大腸ガンや動脈硬化を抑制する効果があることを発見されました。また、ココアの機能性成分カカオポリフェノールの抗酸化機能に関する研究について発表しておられます」と紹介されました。

 智の木協会は「植」と「食」の二つを大きな柱として掲げており、これまでは主として「植」について取り上げてきましたが、本日、初めて「食」について講演いただきます。「医食同源という言葉がありますが、生涯10万回位食を摂すると言われています。食と健康との関連ということで、貴重なお話をお聞きできますこと、楽しみにしています」と期待感を示されました。

 智の木協会は平成20年5月4日に創立され、ワークショップやシンポジウムを開催し、本日は9回目になりましたが、「智の木協会から発信する提言や理念が大阪のみならず広く社会に浸透し、持続可能なよりよい社会に貢献していくことを願っています」と結ばれました。





智の木協会1年間の報告とご案内:智の木協会 代表幹事 小林 昭雄 氏

 智の木協会平成28年度活動記録に基づき、1年間(平成27年10月〜平成28年9月)の活動を説明されました。


 ・創立:2008年5月4日。
 ・第8回シンポジウム:
  平成27年12月4日(金)京都大学名誉教授 西田 律夫 氏
  「実のなる木を害虫から守る〜昆虫誘引物質の探索」
 ・第10回ワークショップ:
  平成28年5月31日(火)小川流煎茶 家元嗣 小川 可楽 氏
  「煎茶への誘い―文人と喫茶」
 ・創立記念(8周年)講演会:
  平成28年5月7日(土)日本一明るい経済新聞 編集長 竹原 信夫 氏
  「元気な企業の舞台裏」
 ・新年交流会:
  平成28年1月23日(土)
  大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 
  准教授 岡澤 敦司 氏
  「ノーベル平和賞級?猛威をふるう寄生植物による被害の克服を目指して」
 ・第17回イーヴニングトーク
  平成27年10月20日(火) 信州大学名誉教授 廣田 満 氏
  「信州―きのこの森を語る」
 ・女性専科 第1回「毎日を明るく前向きに生きるための」講習会:
  メイクレッスン
  平成28年8月23日(火)大阪大学 渉外本部 未来基金担当
  特任専門職員 吉田 富士江 氏
  参加費を未来基金に寄付
 ・第10回 グリーンツーリズム 大阪サイエンスクラブと共催:
  平成27年12月8日(火)「竹中大工道具館見学会」
 ・第11回 グリーンツーリズム
  平成28年9月17日(土) 「京都 小川流 煎茶に親しむ一日」
 ・支援関連:
  平成27年11月20日〜12月25日
  「社団」テラプロジェクト主催 クリスマスツリー市民選手権参加
  平成27年11月29日(日)「大阪みどりのサンタ・ラン」参加
 ・新規事業「この木ちの木」(第一世代)
  平成28年7月25日(月)〜29日(金)
  ひばりヶ丘こどもアカデミー代表 辻本 あかね 氏他
  「まちラボ 夏の学校」
 「この木ちの木」について代表幹事は次のように説明されました。「智の木協会にぜひ子ども達の参加をということで、近藤理事を中心に進めています。結果、子ども達も大変喜んでいましたし、子ども達が持つ可能性を強く感じましたので、今後色んな事業を進めたいと思っています。」
 そして、今年度の2つの大きなみどりのサンタイベント「11月27日、大阪城公園でのみどりのサンタ・ラン」「12月4日、うめきたガーデンでクリスマスツリーつくり」を智の木協会の後援を得て参加実施する旨の話がありました。特に、「うめきたガーデンでは、1000人集まって人文字を作り、それをドローンで空撮し、クリスマスライブ、インターネット放送等々インスタグラムに掲載して広めようという催しですので、智の木協会の方々は阪急電車、観覧車に乗るコースで、多くの方々にご参加いただきたい」とお願いされました。また、「智の木協会のコンセプトがようやくまちに動き出したということになると思いますので、来年に向けて智の木協会の力を示していきたい」と抱負を述べられました。




講演:大澤 俊彦 氏 愛知学院大学 心身科学部 健康栄養学科 教授
          名古屋大学名誉教授
座長:智の木協会 代表幹事 小林 昭雄 氏





講演
 東京大学農学部農芸化学科で学ばれた大澤氏は、小林代表幹事や小菅事務局長とは同世代・同分野でお互いに若い頃から知己の中だったようです。東大ではキクの根を出すホルモンの研究を、オーストラリアではユーカリのホルモンについての研究を3年間されました。
 その後、酸化が老化に関係しているのではないかということから、抗酸化食品について研究を始められ、名古屋大学で30年以上、愛知学院大学で8年続けておられます。愛知学院大学曹洞宗の大学で、今年創立140周年を迎え、心身科学部とは、「心と身体を科学する」唯一愛知学院大学にのみ存在する学部だそうです。大澤氏は、8年前に(株)ヘルスケアシステムズを立ち上げられ、現在、愛知学院大学名古屋大学生命農学研究科、(株)ヘルスケアシステムズの3機関に所属して「食の機能性」について研究されています。
 健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)について説明されました。肥満者の割合は全国で約3割。しかし、今の若い女性たちは逆に痩せている人が多く、これは次に生まれてくる子どもたちに問題が起こりやすい、と第2次世界大戦時の例を挙げて警告されました。戦時中、ドイツ・ポーランドでは飢餓状態でたんぱく質不足で生まれた子どもは、現在、生活習慣病の巣になっているとのことでした。その他、野菜の摂取量について、食塩の摂り過ぎは禁物、運動をしましょう、たばこ・酒はほどほどに等々書いてあるそうです。
 次に曹洞宗と精進料理についてお話いただきました。本山は永平寺、東京は鶴見の総持寺道元禅師によって開かれた曹洞宗、寺で僧侶たちは無駄のない食事、精進料理を食していますが、道元による「典座教訓(てんぞきょうくん)」といういわば料理の仕方、作法を説いた書がありそれに法って料理されているそうです。
 しかし大澤氏は「精進料理はやはり塩分が多い、意外とカロリーも高い。必ずしも良いとは言えません。昔の伝統だけにとらわれず、新しい科学でやりましょう」とおっしゃっています。
 これまでは、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを五大栄養素として「守りの栄養学」と位置づけ、糖質・脂質の摂り過ぎに気を付けようと発信してきましたが、それ以外に、第六の栄養素として食物繊維、第七の栄養素(非栄養素)として、ポリフェノールクロロフィル、イオウ化合物、イソチオシアナート(辛味成分)が挙げられ、大澤氏はこれを「攻めの栄養学」と位置付けておられます。
 ポリフェノールの言葉自体あまり一般的ではなかった時代から大澤氏は、ゴマのポリフェノール、カカオポリフェノールの研究をずっと続けてこられ、カカオポリフェノールの方は、今年21回目の国際シンポジウムを開かれました。
 イソチオシアナートはワサビの辛味で、アメリカではブロッコリースプラウトがガン予防になるということで売られているとか。摂り過ぎは甲状腺肥大の原因になると言われていますが、適切に摂ることにより解毒力を高める効果があり、日本人はワサビを5g程度、ゴマでも5〜10g、よくすって食するとよいそうです。サプリメントと比較して色んな成分が含まれていることがその理由です。
 これまで身体にあまり良いと思われていなかった非栄養素を、第七栄養素と称してバランスよく摂り過ぎないように摂取していくことが、長寿の一番大事なポイントであると大澤氏は述べられました。
 食物、栄養素摂取量とリスクとの関係について、どんな栄養素でも摂取を続けていけば病気のリスクが下がっていくというような物は世の中に無く、最初は効果があり途中で効かなくなる、また、大量に摂取すれば効くようになることはあまり考えられない、最初は効果があるが途中から病気になるケースが多く、摂り過ぎを抑え種類にも気を付けることが大事ですと説明されました。
 日経が“日本の未来を切り拓く”と題して4人の専門家について特集を掲載した中に、大澤氏がその1人として選ばれました。理由は、抗酸化食品について20年にわたってチョコレートココアの研究をされ、人の臨床研究で非常に良い結果が出たことによります。

 サプリメントについては、「体調、考え方、趣味ととらえ、機能まで考えて摂っていただきたい。あくまでもバランスのとれた食生活が大事です」とご自身の研究成果を元に説明されました。タマネギ、ブロッコリー、大豆、ゴマ等が重要な食品であることを述べられ、最近ではチョコレートに特に注目しておられる他、赤ワイン、アントシアニンを多く含んだベリー類も研究しておられるそうです。ゴマ学会を30年前に立ち上げられ、大澤氏はセサミノールの名づけ親でもあります。これまで、抗酸化物質について450種以上の物を研究された結果、とにかく組み合わせが重要と述べられました。
 体重当りの酸素消費量と寿命との関係について、酸素消費量の高いネズミなどの小動物は寿命が非常に短く、ゾウやカバの大動物は酸素消費量が低く寿命が長い、人は酸素消費量は低くはありませんが寿命が長い、その理由は血液中の抗酸化成分が多いからだそうです。八木國夫氏は「女性ホルモンに抗酸化性がある」と世界で初めて発表され、よって「女性の方が長生きである」のだそうです。
 「活性酸素は身体の錆を作る」とよく言われますが、活性酸素の「功」について説明してくださいました。抗菌・抗ウイルス作用、呼吸におけるエネルギー源、各種ホルモン類の合成、情報伝達(プロスタグランジン ホルモン)など、逆に活性酸素が無ければ生きていけませんと大澤氏。人間の受精の際にも活性酸素が必要とか。人間にとって必要な物であっても老化し、生活習慣病はほとんど酸化で発症すると言われていますし、抗酸化力は年齢と共に下降するそうです。
 10年前に、アンチ オキシダント ユニット研究会を立ち上げられたことについて説明されました。この研究会の基本的な考え方は、生体内の抗酸化機能維持がいかに重要かということを科学的なバイオマーカーで計測する、血液、尿、唾液などの中にある分子の多少で抗酸化力を科学的な根拠で測定することだそうです。大澤氏が開発された酸化ストレスのバイオマーカーでタンパク質や遺伝子が酸化によって変化することを測ると、酸化状態が分かります。大学発ベンチャー企業で20名以上の社員が、人や動物のバイオ細胞を使った評価システムの開発に取り組み、人の臨床研究をされ、人で効果があった抗酸化食品の開発をされています。

 65歳から認知症の発症率が一気に上がり、特に85歳以上は3〜4人に1人は認知症と言われています。寿命が延びたことにより、認知症の割合が増えたこともありますが、大澤氏は若年性の認知症が問題だと指摘されました。全体の50パーセントがアルツハイマーで、かつて多かった脳血管性認知症が現在は減る傾向にあり、逆にレビー小体型認知症が増えてきているそうです。「日本でも人はいずれかを発症するリスクを持っています。それを如何に先伸ばしできるか、疾病のリスクを如何に下げるかの予防医学だと思います」と大澤氏。
 神経変性疾患では、疾病特異的なタンパク質凝集体が認められます、と説明を続けられました。アルツハイマー患者の脳にあるβ―アミロイド、パーキンソン病のα―シメクレイン、舞踏病、プリオン病、ALS 筋萎縮性側索硬化症、いずれも脳の中にあるタンパク質が凝集していることより発症する、つまりタンパク質の酸化・還元のバランスが崩れて酸化してしまうことが原因とされているそうです。大澤氏はこの考え方を元にDHA(ドコサ ヘキサ エン酸)に着目されました。青い魚に多いDHAですが、脳にも非常に多く27%、目の網膜は60%がDHAとか。アルツハイマーの患者ではDHAが健常人の半分しか無いことにより、DHAが減少することがアルツハイマーの原因であるとする考え方が多かった20年前から、大澤氏は脳の中でもDHAが酸化されるのではないかという考え方を進めてこられました。
 DHAは非常に酸化されやすく、−20℃位でも酸化してしまい、冷凍庫の中で油で揚げた魚が空気に触れると酸化が一気に進むため、気を付けましょうと警告されました。老人ホームでアルツハイマーで亡くなった9人の脳のスライスを見たところ、DHAが酸化している部分とβ―アミロイドを持つ老人班とが完全に一致したとのこと。また、ショウジョウバエやネズミを使って脳の酸化を防ぐ物質を見つける研究を進め、大豆のイソフラボン、ウコン、レモン、ゴマ、チョコレートのポリフェノールアスタキサンチン等を挙げられています。発酵食品にも注目されていて、メリットを以下のようにまとめておられます。
 ・嗜好性の改善(味覚の改善、脱色、etc)
 ・抗酸化性の向上
 ・吸収率の改善、etc
 非栄養素と言われる成分にはえぐみがあり、おいしい成分ではないものも多いため、これを発酵という日本の伝統技術でおいしい食品にかえていけるのではないか、と大澤氏の話は続きます。テンペ(インドネシア発酵食品)、八丁味噌、発酵レモン果皮、発酵大豆イソフラボン、発酵ゴマ脱脂粕、カカオポリフェノール、コプリーノ(南部パラグアイで栽培の新しいキノコ)、テトラヒドロクルクミン、アスタキサンチン等は発酵食品です。これらの機能性を浜松フォトニクスが開発した機器により測定した結果、ポリフェノールの一種には抗酸化・抗炎症の作用があること、母乳に含まれているラクトフェリンは抗酸化性・抗炎症性を高めることが分かり、いずれも自然免疫の賦活作用が認められました。アントシアニンには抗炎症作用が認められ、ビタミンCは抗酸化性は強いけれども、抗炎症性はあまりないことが分かったそうです。
 浜松フォトニクスとヘルスケアシステムズ、愛知学院大学がコラボして、抗酸化物質の摂取前後で血液を調べ、身体の中で十分機能しているかどうかを測定できる機械を開発し、プロトタイプが出来上がりました。
 DHAについて、青みの魚を食べれば食べるほどいいのかどうか?大澤氏と大府の長寿研究所が研究発表されました。実は、青みの魚プラス発酵食品(愛知県の場合、八丁味噌)を多く食している人の方が推定IQが高かった、つまり、大豆がDHAの酸化を防ぐ抗酸化剤として働くことが分かったそうです。DHAのサプリメントの摂り方が重要と指摘されました。大豆はまた、女性ホルモン活性の力も持っているとのことです。
 大豆は肌にもいいのですが、骨粗鬆症、女性の乳がん、男性の前立腺がんの予防にも大いに関係があるそうで、大澤氏はヘルスケアシステムズと大豆がなぜ良いかを調べるエクオールというエストロゲン(女性ホルモン)活性のマーカーを開発されました。大豆は腸内細菌の働きでエクオールという物質にかわる、このことが大事で、エクオールに変えることができない人も多いとか。かつて日本人の50〜60%の人はエクオールを作ることができましたが、最近の女性は20〜30%しか作れないそうです。これまで、大豆をたくさん食べる日本人はエクオールを作る腸内細菌を持っているから大豆の効果大と言われて来ましたが、データが少なく大澤氏は自宅でエクオールを測ることができる「ソイチェック」という方法を開発されました。サプリメント大塚製薬から昨年発売されています。大豆を食べてもエクオールを作らない人は、更年期障害が多いそうです。

 大澤氏は3年ほど前からチョコレートの食べ方を調べておられます。スイス・ドイツでは年間12kg食べられているのに対し、日本人は2kg以下とか。カカオポリフェノールの研究では、筋肉、肝臓、肥満を抑える、血管をよくする、心臓、脳にも良い・・・たくさんの論文が出ているそうです。明治製菓と共同でカカオからたくさんの活性成分を分析し構造を決められた大澤氏は、実際に食べて試したいと考えられ、動脈硬化のモデル動物であるアポe欠損マウスで調べられました。結果、16週間で血管は詰まってしまいましたが、これにカカオポリフェノールを与えたところ抑制され、マウスレベルでは動脈硬化の予防になることを突き止められました。やはり、チョコレートはカロリーが高く肥満になるということで、30年前には健康によいという論文はほとんど無かったのですが、その後、大澤氏等が出された論文が引き金となり、アメリカ、ヨーロッパで研究が増えてきました。
 人での研究はパナマ近くの島に住むクナインディアンが都会に憧れてパナマシティに移り住んだところ、ガンを始めとする生活習慣病が急増したそうで、島に住んでいた時はカカオを食していたのに、都市に移り住んだ際には塩分摂取量が減ったにも関わらず血圧が高くなってしまった、その原因を突き止めてみたところ、カカオに関係があることが分かったそうです。チョコレートを食べていれば塩分を摂ってもよいということでは勿論ありません。日本人の場合、緑茶、コーヒー、赤ワインなどと一緒に毎日最低650mgのカカオポリフェノールを摂取することが望ましいという実証研究を立ち上げました、と大澤氏。120歳で亡くなったフランス人は、1週間に900gのチョコレートを、世界第3位の長寿の人の場合も、ほぼ毎日食べていたということから、愛知県蒲郡の市民を対象にチョコレートの人への研究をされました。蒲郡は愛知県で生活習慣病発症率が一番高かったことがその理由です。72%高カカオチョコレートを毎日25g4週間食してもらった結果、以下のことが証明できました。
 1.血圧が下がった
 2.HDLコレステロール値が有意に上昇した
 3.SF-36の精神的スコアで改善がみられた(精神的なストレスが排斥された)。
 4.BDNF(脳神経の栄養源)が有意に上昇した 
 5.摂取の前後で、体重・肥満度(BMI)に全く変化は認められなかった
 チョコレートの生活習慣病に関する実証研究の結果、正常血圧の人にはほとんど影響がなく、高血圧の人の場合は非常に有意に下がりました。140以上が高血圧と言われていますが、ほとんどの人は130以下に下がったそうです。悪玉コレステロールは、4週間では有意さは出ませんでしたが、善玉コレステロールは治験者全員が有意に上昇しました。
 次に、活性酸素による遺伝子の傷つきと炎症の度合いを尿で測る方法を開発されました。炎症が起きると心疾患のリスクが高くなります。炎症と遺伝子の酸化を防げばそのリスクは下がるはずです。「酸化されやすい人、運動のやり過ぎの人、年齢が高い人、睡眠が6時間以下の人など数値が高いのですが、高カカオチョコレートを適度に食することで血圧を下げたり動脈硬化のリスクを下げることができるということが言えます」と大澤氏。チョコレートの摂取を4週間続けますと精神的なストレスが緩和され、BDNF(脳神経の栄養源)が増えることが分かったそうです。BDNFはまた、脳活トレーニングや運動することによっても増えます。これまでBDNFについて報告されていた内容は以下の通りです。
 ・ニューロンの産出を促進させる脳にとって重要な栄養分
 ・海馬に高濃度で存在 
 ・65歳以上の高齢者では、加齢とともに減少
 ・血中に存在し、血液脳関門を通過
 ・うつ病アルツハイマー認知症などの精神疾患で脳内のBDNFが減少
 ・記憶・学習などに認知機能を促進
 ・運動によってBDNFは上昇
 大澤氏は、チョコレートを摂取することによりBDNFが上昇し、認知症予防の可能性がありますと結論を述べられました。
 最後に、ご自身が立ち上げられた(株)ヘルスケアシステムズ社について説明がありました。

 


閉会のご挨拶:豊田桃介氏 智の木協会 専門委員

 老化、認知症予防などアカデミックな内容を分かり易くお話いただいたことへの感謝を述べられました。一番の関心事は、その年齢でお元気で活動されておられる先生の普段の食事ですと述べられ、多くの方々が頷いておられました。
 次に、清水建設(株)が平成22年、大阪富国生命ビル建て替えに携わられたことが智の木協会との接点であり、その経緯を説明されました。以前のビルは地下に飲食店が、屋上にビアホールがあったそうです。その後、阪神淡路大震災があり耐震性の問題で建て替えが決まり、富国生命様はデザインをフランス人建築家のドミニク・ぺロー氏に依頼され、ペロー氏はこのビルを「いのち」とか「成長」という言葉をモチーフにし、森の大樹をイメージしてデザインされたと話されました。そして、曽根崎警察署、阪神百貨店側からビルを見上げていただくと、普通のビルが直方体に建てられているのに対し、裾の部分がスカートにように大樹が根を張るようになっていますし、窓もガタガタしていて下から見上げると反射して大樹の洞のように見え、まるで智の木協会の活動を象徴するようなビルになっていますと説明されました。
 最後に、平成20年に活動を始めた智の木協会の活動に対するご支援にお礼を述べられ、今後もお力添えをいただきたいとお願いされました。




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