智の木協会活動報告

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智の木協会 第2回グリーンツーリズム 中国石油製品に代わる「杜仲ゴム」の研究開発と西安(2011西安世界園芸博覧会)視察レポート

2011年9月21日(水)〜9月25日(日)≪5日間≫

 この視察旅行は、大阪国際サイエンスクラブと共催で行われました。団長は智の木協会代表幹事、大阪大学名誉教授の小林昭雄氏で、12名の参加がありました。
 杜仲は、「杜仲茶」でお馴染みですが、その、葉・枝・翼果(よくか)などに硬い天然ゴム(グッタペルカ)成分が含まれていることはあまり知られていません。
 河南省の黄土高原で進む砂漠化を防止する対策として、1990年から杜仲の植林が開始され、約20万haに約120万本育っています。
杜仲の森

翼果

その杜仲の種子嚢から天然ゴムを抽出する技術が大阪大学(当協会小林代表幹事)と日立造船(株)との共同研究で開発されてきており、今回、黄土高原での杜仲の生育状況、天然ゴム抽出の技術開発の状況を、代表幹事小林氏と西北農林科技大学教授、蘇印泉氏に案内して頂きました。
 関空から上海、西安と飛び、西安からは高速鉄道を利用し、霊宝駅で日立造船(株)の方々と合流し6台の車で現地に向かいました。曲がりくねった山道は、50年ぶりの豪雨のため、道路陥没、がけ崩れなどが見られ、一日前は一部通行止めだったと聞きました。道路沿いには、横穴式住居、窰洞(やおとん)跡が随所に見られました。
 植林開始から20年、雌株には翼果がたくさん付いており、収穫の時期を迎えていました(収穫は9月下旬から10月)。翼果を微生物発酵させることでゴムの成分以外を分解し、ゴム成分のみを取り出して乾燥させる代表幹事発案の技術が生かされていました。今後、さらに、冬の最低温度がもう少し高い地域での杜仲栽培も進めて行きたいとの話がありました。
杜仲ゴム生産研究所 集合写真

 23日(金)、蘇教授(園芸博の審査員)の案内で西安世界園芸博覧会へ向かいました。この園芸博のテーマは「天人長安、創意自然」、都市と自然の調和・共生、自然の尊重を目指すことです。この会場は、1980年代、汚染された川やゴミなどに囲まれたところだったそうですが、西安市は長期計画で生態管理を行い、豊かなみどりが見られるようになり、園芸博の地として最適と位置付けられたそうです。
 会場のシンボル的な建物は長安塔と名づけられ、高さ99m。塔に入場するためには「4時間待ち」と言われていましたが、私たちは蘇教授のご尽力で「嘉賓」として優先入場させていただきました。
長安塔最上階からの眺め

長安塔最上階からの眺望は素晴らしく、四方を見渡すことができました。博覧会には、日本から横浜、奈良、北海道が出展していましたが、趣が異なるように感じました。西安外国語大学の学生さんがボランティアで案内してくださいました。本当に流暢な日本語で驚きました。説明も詳細で参加者全員感動しました。
 その他、中国歴史上有名な、秦の始皇帝を守るために副葬された兵馬俑、歴史的石碑などの文物を11,000余点収蔵している碑林博物館、陝西省で発掘された遺物約40万点が収蔵されている陝西歴史博物館などを見学しました。
兵馬俑

 西安市では現在建築ラッシュで建築中の高層マンションがあちこちに見られましたが、実際の入居者は少ないようで、投機を狙って市民が買い急いでいるとのことでした。近代化へ向かう面と歴史を大切に守ろうとする両面をしっかり見届けることができた、印象に残る5日間の旅でした。旅を共にした12名は、中谷ISCO理事長さんの呼びかけで今後も交流していくこととなりました。交流の場として智の木ラウンジを活用していただければ幸いと思います。