智の木協会活動報告

智の木協会の活動報告ブログです

第7回 智の木協会ワークショップレポート

 平成24年11月7日(水)18時〜19時
 於:大阪富国生命ビル4階 【社】テラプロジェクト Aゾーン

 司会:智の木協会 事務主幹 川上茂樹氏


開会のご挨拶:智の木協会 名誉顧問 山本幹男氏
 最初に、ご参加の皆様にお礼を述べられました。続いて「大阪富国生命ビル」について、地球温暖化、緑地保全など環境問題を強く意識してビル建設に臨んだ様を説明されました。
 仏人、ドミニク・ペロー氏の設計によるビルの外観は、大地に根を張った大樹が天に伸びていく様を表現しており、梅田の景観を豊かにとの思いが込められています。
内部は、地下2階から吹き抜けのアトリウムになっており、「フコクいのちの森」と称されています。これは、富国生命様が伊豆に山を所有されており「フコク生命(いのち)の森プロジェクト」と名付けて保全活動をなさっているCSRに繋がっています。アトリウムでは、チトンフィット空調を採用しておられ、「地下にいながら森の安らぎを感じていただける空間を演出しています」と山本氏。「設計上、生の植物を置くことは難しいですが、植物の持つ力や効用を智の木協会の活動と共に進めていければ幸いと考えています」と続けられました。
 山本氏は「本日のご講演者、黒田緑化事業団様は、緑化事業を行うことにより大阪の生活環境の向上を図り、公共の福祉の増進に寄与することを目的に毎年様々な植樹活動をされていること、それは富国生命ビルのコンセプトと重なるものを感じています」と述べられました。
 智の木協会は、2008年5月4日に発足以来多くの方々にご支援いただき、企業会員は20社を超え、個人会員も100名に達するほどに成長しました。山本氏は、特にこの度の地方公共団体鳥取県智頭町、大阪市北区)の入会に言及されると共に、その意義を強調されました。また、智の木協会は、4階を運用している産学連携活動支援機構「テラプロジェクト」への支援でも重要な役割を担っていることも加えられました。そして、「智の木協会の活動が多くの方々に理解されて植物の持つすばらしさ、あるいは持続可能な社会環境づくり、心豊かな人格形成等、豊かな社会づくりに寄与することを願ってやみません。活動を磐石なものにしていくために更なる努力を致して参りたいと思いますので、ご支援をお願いいたします。本日ご参集の皆様のご健勝をお祈りいたします」と結ばれました。


事務局報告:智の木協会 事務局長 小菅喜昭氏
 智の木協会組織についてスライドを用いて説明していただきました。
総会の下に理事会→幹事会→事務局→研究会があります。また、会計監査人は税理士にお願いしています。名誉顧問には以下の3名の方に就任していただいております。
フコクしんらい生命保険株式会社 代表取締役社長 山本幹男氏
コクヨ株式会社 代表取締役社長 執行役員 黒田章裕氏
京都大学名誉教授 小清水弘一先生
 その他、平成24年度の活動内容をスライドで紹介していただきました(会員の皆様には添付でお送りしています)。


講演:公益財団法人 黒田緑化事業団
   理事長 黒田耕司氏
   
座長:智の木協会 代表幹事 小林昭雄氏

 智の木協会設立時から深いご縁のコクヨ株式会社さん、創設された黒田家、緑化事業に取り組んでこられた黒田家代表として黒田耕司氏を紹介されました。ご紹介に続き「智の木協会副理事長 黒田錦吾氏より当該社が取り組む緑化活動について学ばせていただきましたが、本日は、その中核組織である(財)黒田緑化事業団(昭和48年10月20日設立)につきましてご説明いただきたくお招き致しました。また、全ての面で智の木協会は学ばせていただくことが多く、本日は、理事長様に直々に活動実績をご披露いただき、会員の皆様と共に学ばせていただきたくご講演をご依頼致しました」と述べられました。
 
講演:「みどりの不毛地の大阪にみどりを」
 黒田耕司氏は平成22年に(財)黒田緑化事業団の理事長に就任されました。(財)黒田緑化事業団は昭和48年10月、コクヨ株式会社常任監査役黒田敏之助氏(黒田耕司氏の父)の遺志に基づいて設立されました。元々コクヨ株式会社創始者の黒田善太郎氏が植物や植木を大切にされる方だったご様子で、「見て美しいと感じる素直な心が商品の品質に通じ、また木を育てることが人間造りにも通じる」と説き続けておられたそうです。この精神が二代目社長始め、役員の方々にも強く受け継がれ、コクヨ(株)工場内その周辺の緑化を進めてこられたそうです。
 二代目の黒田敏之助氏が育った大阪は、上町台地を除いて昔海だったためほとんど緑がなく、敏之助氏は常に「美しいみどりの回復、ひいては人間性の回復を図る大きな役割を果たしたい!」との意思を生前お持ちだったそうです。「みどり」に対する創始者以来の伝統的な緑化に対する強い関心と黒田敏之助氏の強い遺志により、財団は設立されました。
 財団の基本財産はコクヨ(株)の株式で、敏之助氏の保有株のうち約三分の一を財団設立のために寄贈されました。その後の無償増資等により360万株を有する大株主となり、その配当を以って財団の運用資金に充てて活動しておられます。
 財団の設立目的は、「地方公共団体、その外郭団体、その他この法人と目的を同じくする事業を行う公益法人を通じて、大阪府下における緑化事業を行うことによって、大阪府民の生活環境の向上を図り、もって公共の福祉の増進に寄与する」とあり、財団は植樹を中心に事業を展開、「とにかく、みどりを増やすことに力を入れてきました」と理事長。故人の強い遺志とはいえ、三代目の耕司氏も積極的に大阪のみどりを増やすために働いておられ、その熱意に頭が下がります。
 昭和48年から平成23年までの実例をご紹介いただきました。主な植栽地は下記の通りです。HPにも活動履歴などが載っています。HP:www.kuroda-ryokka.or.jp
大阪府関係〔()内は主な樹木の種類〕 
久宝寺緑地(広葉樹)
 ・咲くやこの花館(クスノキ並木)
 ・蜻蛉池公園(花木園桜通り、メタセコイア
 ・関空エアロプラザ:室内(ベンジャミン、タイワンモミジなど)
 ・大型児童館「ビッグバン」植栽
 ・大阪府民牧場「かぶと虫の森」
 ・大阪府民牧場「ビオトープ
 ・府庁本館屋上緑化
 ・紀泉わいわい村
 ・花の文化園:バラ1,587本、梅270本、中国牡丹940株、その他平成2年から毎年。
 ・水生生物センター、ビオトープ
 ・今池水みらいセンター
 ・竜華水みらいセンター
大阪市関係
 ・毛馬桜ノ宮公園
 ・大阪城公園「黒松並木」
 ・大阪国際交流センター(黒松、クスノキ等)
 ・大阪市庁周辺(ケヤキ
 ・谷町筋(トウカエデ)
 ・夕陽丘町樹園(多行松)
 ・大阪市長居植物園(カツラ、シダレザクラ
 ・大阪歴史博物館ケヤキ他)
 ・中之島公会堂周辺緑化、中之島公会堂サンクンガーデン
 ・大阪城梅林、大手前広場 黒松植樹式、緑化フェアー プランター寄贈
  杉山地区(モミジの名所として)
 ・花博記念公園鶴見緑地(コハウチワカエデ、イロハモミジ他)
 ・中之島公園ケヤキ並木、シロバナトキワマンサク他)
 ・中之島公園南エリア植栽
 ・大阪市立大学
 ・大阪市JAAFグリーンプロジェクト:世界陸上2007大阪大会メダリスト全員に、
  長居公園に植栽してもらわれた。
 ・市立美術館(プランターに花を)
 多くの方々が訪れた経験をお持ちのあの場所、この場所の立派に育った植栽の多くが(財)黒田緑化事業団によって寄付されたことを知り、感服致しました。「当初、植栽を進めても後のケアが大変だからという理由で行政から疎ましく思われていましたが、最近では行政の財政難で逆に大きな期待を寄せられるようになりました」と黒田氏。また、「大阪市の中心であり、シンボルである中之島界隈に植樹させていただけることは本当に幸せ」と締めくくられました。
 これまで、大阪市内で立派に育った並木道や大阪府下・市内の公園で美しい植栽に触れて、「近畿の大都会」でありながら「みどりが多い」と感じていました。大阪のこれらの多くの「みどり」が財団の長いご努力の賜だったことを知りました。「仕分け対象」になりかけた花の文化園には、10年以上を費やして多種多様の植物を寄付してこられました。花の文化園の珍しい品種の植物、その種類の豊富さと地形を生かした植栽方法、ゾーン別の植栽等は花やみどりを学習する人たちにとって、大変貴重な植物園です。大阪城公園では桜だけでなく「黒松並木」をぜひご覧になってください。また、美しいみどりが育っている処では、「(財)黒田緑化事業団による植樹ではないかしら?」と立ち止まってください。きっと財団の方々の「熱い思い」が伝わってくることでしょう。
今後は知人に友人に、多くの方々に(財)黒田緑化事業団の大きな存在を広報していきたいと思います。

座長:
 「世界的には21世紀はグリーンゴールドの時代、みどりが金を産む時代と言われており、私の一番好きな言葉です。コーヒーカップもヘレンドのグリーンと金のカップを使用しています」と小林氏。「創始者の方の流れを脈々と繋いで、40年間[ゴールド]作りをして来られて敬服致しておりますし、本当に素晴らしい活動をしていただいているということ、我々の日頃の生活に指針を与えてくださったように思います」と述べられました。「コクヨ(株)さんはタイサンボクを樹花として決めておられます。早く大きくなりますし、清潔な白い大きな花が咲きます。前会長 黒田翮之助氏がお決めになりました。私共もタイサンボクの勇姿を目にする度に、コクヨ(株)黒田家のみどりに対する強く深い思いを感じております」と結ばれました。


閉会のご挨拶:智の木協会 副理事長 黒田錦吾氏
 「理事長のお父さんは文化人で、花であるとか、音楽であるとか、そういうことに造詣の深い人でした。今でこそ各企業共CSR緑化などを推し進めていますが、事業団は緑化事業を40年愚直なまでに進めてきました。これまでの植樹約30万本、基金は17億円です」とのお話に参加者のどよめきが起こりました。「木を切ることは簡単ですが、木を植えて育て、しかもそれを40年も続けるということは大変なことです」と黒田錦吾氏。大阪市立大学の例では、殺風景で教育の現場とは思えないような雰囲気だったそうですが、毎年々々植樹して今では素晴らしい樹木になっているそうです。まさに(財)黒田緑化事業団によってみどりの環境が整備された大学になったと言えるでしょう。
 「事業団はコクヨの大株主です。順調に40年間配当を続けていて、ここまで活動を継続することができました。これも皆さんにコクヨの商品を御愛顧いただいているお蔭です」とお礼を述べられました。コクヨ商品を使うことがひいては大阪のみどりを増やす活動に繋がるということは、非常に嬉しいことです。
「智の木協会は順調に育ってきており、会員数も増えています。会員は多士済々で、月1回のペースで開催のイーヴニングトークに会員の皆様にも順次ご登壇いただき、その輪がどんどん広がっていくことを願っています。ご都合を繰り合わせてご参集いただければ関係者としてはこの上ない幸せです。年末に向け、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします」と結ばれました。